No Meat, No Life.

横浜の魚屋の長男として生まれたが、家業を継がずに肉を焼く日々。

2015年10月22日 静龍苑


焼肉に限らず料理にとって素材はとにかく大事。
でもね、素材の質云々ごちゃごちゃ言わないで楽しめるとこがあるのが焼肉の面白いところ。
先日の”北京”もそうだった。
“北京”に比べればだいぶマイルドだけど、ここ”静龍苑”も相当面白い。
まず予約。
予約は出来る。
だけど、基本的に食べたい日の1週間前からの受付。
大人数で予約したいときはちょっと不安なんだけど。。。
でもおばちゃんとちょっと親しくなればそんなルールは関係なくなるようだw
さて当日。
下町情緒漂う森下の新大橋通りを歩くと怪しくオレンジ色が光る。
お世辞にも綺麗とは言えないその外観はどこにでもありそうな町の焼肉屋さん。
扉を開ければさらにノスタルジックな雰囲気が出迎えてくれる。
中タン塩
これこそが”静龍苑”。
はっきり言って”静龍苑”でNo.1のおすすめメニュー。
薄切りのタンを覆い尽くす塩胡椒にネギ、ニンニク。
サシの入ったタンはサクサクとした食感、口の中で弾けるようなジューシーな旨みは爆発力のあるインパクト。
タンは黒とか、タン本来の旨みとか、そんな軟弱な思考を一撃で引き飛ばす強烈な旨さ。
満足度 5



ミノ塩
分厚いミノの真ん中には深い切り込み。
こういったカットや盛り付けなど、昔ながらのトラディショナルな仕事ぶりには感銘を受ける。
満足度 4


タン塩
「上」とは付いていないが”静龍苑”で最もランクが高いのがこのタン。
タンの本当に根元の部分だけを使っていて、サシの入り具合は中タン塩と明らかに違う。
ただし値段も相当違う。
質と値段を考えれば中タン塩で十分なのだが、タン塩を頼むという行為を何故か続けてしまう。。
ちなみにこの日最初に食べたタン塩は、ビックリするほど味がなかった。
首をかしげながら何枚か食べてみて分かったのは、おそらく塩の入れ忘れww
恐る恐るおばちゃんに訴えてみると怪訝そうな顔をしつつもおじちゃんのところにタン塩を持って行ってくれた。
10分程度で戻ってきたおばちゃんの手には食べてしまった分までリセットされたタン塩とサービスのカルビ塩。
しっかりと強烈な化粧を施されたタン塩は破壊力抜群。
やはり問答無用の旨さがある。
満足度 4






カルビ塩
塩なしタン塩のアクシデントでサービスしてもらったメニュー。
これまた”静龍苑”にいることを実感させてくれる味付け。
ジューシーな肉汁をネギがしっかりと受け止めて、甘みが引き出されていて旨い。
満足度 3


あぶりユッケ
肉の甘みとタレの甘みが絶妙に混じり合う。
ちゃんと炙って食べましょう。
満足度 4

上ミノ
食感は良いが、ザクザク感はミノ塩に一歩及ばず。
満足度 3

小袋
強めの味付けで臭みなど感じないが、もう少しプリプリ感が欲しいところ。
及第点。
満足度 3

ハラミ
常連さん用でメニューには載っていない。
しれっと頼んでみると、運が良ければおばちゃんが1人前だけ受けてくれるかも。
大振りなカットで口の中がハラミで満たされ、溢れる肉汁を懸命に飲み込むべし。
ちなみにハラミとしては特に抜きんでるレベルではないが、不思議と満足してしまう。
満足度 4

上カルビ
おそらく三角バラ。
サシの硬さが気になるのと肉の味があまりないのだが、タレをたっぷりつけてご飯と一緒に食べれば全てを解決してくれる。
満足度 3


上ロース
こちらはおそらくザブトン。
脂の強さも食感もザブトンの方がやはり食べやすい。
満足度 4

“静龍苑”でしか食べれないメニューがある。
それだけでまたここに来たくなる。
“静龍苑”の塩の味付けは唯一無二。
ごちゃごちゃ言わずに食べればよいのだ。

2014年8月11日 静龍苑

江東区森下、新大橋通り沿いに一際存在感を放つ1軒の焼肉屋さんがある。
昭和の香りをプンプン残した外観には薄汚れたオレンジの大きなカバー、そこに大きく"静龍苑"と書かれている。
店内は常に賑わい、数年前に無縁ロースターに改装されたというのに煙がモクモク。
この下町の名店を訪れたのならば、必ず食べなくてはならないメニューが存在する。
まずはタン塩類。
最近勢いのある某オサレ系焼肉屋さんがそのカットや味付けに真似たものを出しているが、やはり本家は違う。
もう一つはロース。
かつて生肉の規制がされる前の"静龍苑"のロース刺しの滑らかな甘みは今でも鮮明に憶えている。
また忘れてならないのが、店主の包丁技術と美的センスを光る盛り付けだろう。
あぶりユッケ
一般的なユッケとは比較にならない程細かくたたかれたユッケは、肉本来の食感ではなくより滑らかな質感を味わうタイプ。
たたかれたユッケの塊と共に渡されるのは、お弁当などに使われるシルバーのカップ
これで各自炙るのだという。
肝心の肉の味はすこぶる良い。
サシの甘みはもちろん、赤身の味もしっかりと共存している。
だが、そんな赤身の味も舌に意識を集中しないと強烈な甘みのタレでかき消されてしまう。。
このタレを甘すぎると感じる人もいると思うが、個人的には滑らかな食感ともマッチしていてかなり好みである。
満足度 4


中タン塩
余分な部分は全て削ぎ落とされ、芯のみという全く無駄のない戦闘的な肉体にニンニク、ネギ、塩、胡椒で暴力的な味付けを武装していく。
タンは薄切りだが歯ざわりが良く、強烈な味付けがジューシーな肉汁と絡み合って見事な調和を見せる。
タン自体の旨みはそこまでないが、とにかく素晴らしい旨さ。
満足度 5


タン塩
一般的なお店の上タン塩や特上タン塩が"静龍苑"のタン塩。
一番根元のサシがたっぷり入った箇所が供される。
その柔らかさからか、中タン塩よりも若干厚切りであり、ジューシーさはワンランク上。
値段も考えると中タン塩と好みは分かれるが、タン好きを虜にすること間違いなし。
満足度 5


ミノ塩
分厚いミノに深い切り込みが入っていて干物のように開くカット。
味付けはもちろんタン塩と同じ暴力的なもの。
いつもに比べるとザクザク感がちょい弱いが、それでも十分過ぎるレベルなのは言うまでもない。
満足度 4

上ロース
部位的にはザブトンだろうか。
"スタミナ苑"の特撰上カルビを髣髴させるカット。
"よろにく"のザブトンのような雌牛特有のサラサラとした脂質ではないが、口溶けが良くタレとの相性も良い。
食べ応えがあるので、白米片手がマストだろう。
満足度 4

相変わらず満足度が高い"静龍苑"。
唯一気になったのがその煙さ。
無縁ロースターを導入したはずなのだが、とにかく目が痛くて痛くて。。
入り口が開くたびに吹き込む外の新鮮な空気が美味でした。

2013年9月24日 静龍苑


昔はタンと言えば薄切りばかりだったが、最近では厚切りで食べさせてくれるお店が増えたように感じる。
厚切りのタンには厚切りのタンの魅力があり、薄切りのタンには薄切りのタンの魅力がある。
タンの旨みを存分に味わうという観点から考えれば厚切りに軍配が上がるのは仕方ないだろう。
薄切りのタンの魅力は、やはり塩ダレやネギ等との絶妙なマリアージュだろう。
"静龍苑"のタン塩は、薄切りタンとネギ塩ダレのマリアージュを極限まで突き詰めた姿と言っても過言ではない。
艶やかなピンク色の肉肌は、何とも言えない魅力を秘めている。
火力を恐れずに香ばしさを加えて焼き上げれば、タンの肉汁とネギの甘みが絡み合いながら口の中を縦横無尽に駆け抜ける。
このタン塩を食べるだけでもここまで来る価値があるだろう。

"静龍苑"ではタン塩が最もランクが上、つまり根本付近が使われていて、その次のランクなのが中タンである。
タン塩との価格差はかなりあるが、この中タンの旨さはその価格差を遥かに凌いでいる。
お得度で言えば、"静龍苑"で最もお得なメニューかもしれない。
完成されたカットや味付けでタンの旨さが最高潮に高められているのだ。


芸術的な盛り付けのミノはカットも芸術的で、ザクザクとた歯触りをより高めてくれるもの。
個人的に後世に残しておきたいと思うミノ部門でNo.1だ。


塩系のホルモンが終わってからタレ系に移るが、その第1弾は炙りユッケ。
甘めのタレが後を引く。

正肉の上ロースとカルビはかなりサシが入っていて、脂の重さが口に残るのがちょっと残念なところ。


最後に追加オーダーしたのはコブクロ
若干臭みがあるが、コリコリとした食感で食べやすい。

"静龍苑"はとにかく最初のタンのインパクトが強すぎて、後半の正肉系に移った時の落差が激しい。
それでも残念な気持ちにならない程、タンが素晴らしいのだ。
そして、昔はもう少しロースの質が良かった気がする。。。

2012年2月21日 静龍苑


何度行っても変わらない昔ながらの『The下町焼肉屋』といった外観は、焼肉好きの気持ちを高ぶらせるには十分だろう。
ところが、店内に入ってビックリ。。
お座敷が無くなってる!
しかもロースターが無縁ロースターに!!
焼肉屋さんには厳しい市場環境だが、こうやって設備投資できるほどお店に元気があるのは本当に嬉しいね。
当然この日も満席。
千枚
シャキシャキっぽさが弱く、少し水っぽい。
満足度 2

あぶりユッケ
卵の黄身が別盛りになっているので、炙ってから黄身を絡ませる!?
お肉はミンチ状で噛み応えはないが、ジャンク的な味付けで、これはこれですごく旨い。
満足度 4


ミノ塩
分厚いカットにしっかり入った隠し包丁、そしてパンチ力のある塩ダレ。
条件は揃っていたが、食感が弱いかな。
満足度 3


タン塩
中タンが売り切れの為、タン塩のみ注文。
ちなみに"静龍苑"のタンは3種類あるのだが、タン塩は一番上のクラスなのだ。
プルプルの滑らかな舌触りと、表面の香ばしさが何とも言えない高揚感をもたらせてくれる。
タンの旨みではなく、タンの肉汁とネギの甘み、そして食感で楽しませてくれる。
満足度 5

上カルビ
三角バラっぽいかな。
脂の蕩け具合は抜群だが、その脂の甘みは弱めなのが残念。
満足度 3


上ロース
こちらは友三角っぽいかな。
まろやかで優しい味わい。
適度な厚さのあるカットが、お肉の味を引き出しているよう。
満足度 4


ロース
赤身の味がそれほど強くないが、さっぱりとしていて食べやすい。
満足度 3

カルビ
脂が強いが、甘みは弱い。
タレがしっかりしているので、ご飯片手に頬張るのが正解。
満足度 3

コブクロ
ごく普通。
満足度 2

相変わらずインパクトの強い味付けに圧倒されながらも、トラディショナルで綺麗な盛り付け、そしてタンには衰えが全く感じられない。
ちょっとした反発心から、昔のもくもくロースターを懐かしんでみたが、やはり無煙ロースターの快適さには嘘はつけない。
やはり名店である。

2011年1月30日 静龍苑

家族団らんは素晴らしいのだが、これが網を囲んでの家族団らんだと、なお素晴らしい。
今週末に家族団らんの場に選んだのは一年ぶりの"静龍苑"。
タンとロースが食べたくなったのだ。
お店に到着して、店構えを見る"静龍苑"初訪問の嫁さんの顔は不安そう。。
店内に入ると、店構えから想像できる通りの店内(笑)
しかも恐ろしく寒くて、上着も脱げない。
寒がりの嫁さんが可哀想。。。
まずは肉刺しが登場。
これで嫁さんの顔に笑みが戻った。
適度な厚みがあるのだが、よくある口当たりの悪さは微塵もない。
肉の味はしっかりしている上に、バターのような脂も甘い。
量がしっかりあるので、生以外に軽く炙るのもオススメ。
表面の脂がじんわりと溶けて、また違った食感に出会う事ができる。

メニュー上では、タンは2種類あるのだが、中タンが安い方で、タンが高い方。
タンは上タンってことです。
勿論両方頼んだのだが、中タンはザクザクした食感と濃厚な旨みから、上質な生の黒タンを想像させる。
塩ダレがちょっと強烈と感じる人もいるかもしれないが、タンがこれだけ上質なら個人的には全く問題なし、というかかなり好きかも。
タンだけれども、ご飯が手放せない。

タンは綺麗なピンクで、根本の部分を贅沢に使っている。
中タンよりもジューシーさが数段増していて、食感も柔らか。
厚切りであれば断然根本だが、この位の薄切りだとタンよりも中タンが好き、という人もいるだろう。
これは好みの問題だろうし、嫁さんは中タンが気に入った様子。

ロースはシンシンが登場。
とにかくこのシンシンは、肉の味が力強い。
"ジャンボ"のシンシンと良い勝負ができる程だ。


子供達もロースが気に入ったみたいで、一心不乱に食べまくる。
子供の為にロースはお代わりしたが、お代わり分は残念ながら違った部位(涙)
こっちは、まあ普通かな。

上ロースは、厚めのザブトンが登場。
肉の味は弱め。
やはりザブトンは"ジャンボ"が最高。

上カルビがなかったので頼んだのはカルビ。
これはお得な感じで、上カルビで使っている三角バラも少し混ぜてくれている。
三角バラはさすがの甘み。
ご飯大盛りを一気にかき込む。
他のカルビも、脂がちょっときついが、郷愁のカルビといった感じ。


前回と比べると、若干肉質にばらつきがあるようにも感じるが、全体的にCPは素晴らしいので、家族での訪問にはぴったり。
家族焼肉の第一候補は勿論"ジャンボ"だが、"静龍苑"も自宅から遠くないので第二候補として外せない。
下町の名店に感謝。

2009年12月28日 静龍苑

最近はおしゃれな雰囲気の焼肉屋さんが増えたが、下町のノスタルジックな雰囲気の焼肉屋さんはやはり良いものだ。
この雰囲気とミスマッチな極上のお肉が食べられるお店は非常に少ないが、ここ静龍苑はその希少なお店の中の一つだろう。
レバ刺しが品切れのために頼んだのはセンマイ刺し。
若干水っぽいが悪くはない。
肉刺しは綺麗なサシが入った巻きが登場。
これは甘みが強く非常に旨い。
更に、網で数秒炙って脂を温めると、甘みが倍増して最高の旨さ。
これほどの牛刺しを食べれる焼肉屋さんは、ほとんどないのではないか!?

中タン塩は、若干強めの塩味に負けないタンの旨みがあり驚かされる。
薄切りにもかかわらず、サクサクとした食感も素晴らしく注文必須の一品である。

静龍苑のタンで最高級なのはタン塩で、"上"といった冠は付いていない。
カット、味付けは先ほどの中タンと同じだが、より根元の部分を使用しており、霜のふった綺麗なピンク色である。
ぷるんとした滑らかな食感で、肉汁も旨い。
ただし、素晴らしい柔らかさで薄切りの為、和牛タンのサクサクとした食感が味わいにくく、根元の極上な部位なので、もう少し厚切りで食べれば更に旨かっただろう。
この年末年始でここまで良いタンを揃えている実力に驚かされ、普段はもっと素晴らしいタンに出会えるのかもしれないと考えると、恐ろしさすら感じる。

ハラミ塩はサガリが出てきたが、普通に旨い。
上ミノ塩は食べやすいカットで、これまた普通に旨いかなぁ。

ハラミタレは塩と同じサガリ部分。
どっちかと言うと、タレの方が合ってる気がする。

上ロースは、牛刺しと同じ極上の巻きを使用しており、牛刺しよりも若干厚め。
香りも良いMeatで、甘みが強いサシが全くしつこくなく、何枚でも食べれてしまう。
タンも良かったが、今回のNo.1は間違いなくこの上ロースだろう。

上カルビが品切れだった為にピンチヒッターをお願いしたカルビ。
極上の巻きの後に並のカルビはちょっと失敗かな、とも思ったが、出てきたカルビは旨そうなバラである。
これは旨みがちょっと貧弱だが、なかなかといった印象。
並でこのレベルだと、上が非常に気になってしまう。

全体的にお店の雰囲気から想像する値段よりも若干高めだが、一皿の分量がしっかりしているので、実はそれほど高くない。
というか肉質を考えるとかなりCPは良いだろう。
最近行っていない"肉のたじま"への『はしご』を軽く提案したが、賛同者がいなかった為に寂しく地下鉄に向かった。