No Meat, No Life.

横浜の魚屋の長男として生まれたが、家業を継がずに肉を焼く日々。

2008年3月18日 よろにく

人にオススメの焼肉屋を聞かれたら、今迷わず挙げるお店がある。
それがよろにくである。
肉質の高さ、CP、そして接客、どれも都内の焼肉屋の中でトップクラスに入るが、特に接客はNo.1ではないだろうか。
接客の良いお店は色々あるだろうが、よろにくは、お客さんに本当に美味しいお肉を食べてもらいたいという思いが非常に伝わってくる。
以前、お店の方が『今よりも10年後に繁盛しているお店にしたい』と言っていたが、その言葉に嘘偽りなし。
今回は珍しく刺身でスタートした。
刺身と言っても当然牛刺しだが、この日の刺身はイチボ。
綺麗にサシの入ったイチボを口に含むと、芳醇な脂が蕩けていく。
脂の融点が低いのだ。
普段はあまり牛刺しを頼まないのだが、今後は頼まざるを得ない状況にされた一品であった。

焼き物は特選タンで始まった。
タンはレアよりウェルダンの方が断然旨いので、慎重に焼いていく。
焼きあがったタンに歯をあてると、サクッと噛み切れる。
こんな上質なタンならもっと少し厚切りにして食べたい。
ちなみに、よろにくでは上タンと特撰タンで味付けが違う。
上タンは塩の他にも胡麻油等も混ぜて味付けしてるのだが、特選タンは塩胡椒のみの味付けだ。
これは素材の旨みを十分に感じて欲しいとの思いだろう。

続いて、ハツとミノサンド。
ハツは臭みがなく、ミノサンドは甘い脂を堪能でき、相変わらずの旨さである。

いよいよタレものに移る。
ウワミスジ、カタシン、ザブトン、ミスジ、マキ、イチボ、どれもこれも絶品だ。
特選ロースということでカタシンを頼んだが、肩ロースの芯というよりは肩ロースそのもののようである。
ぱっぷHOUSEのカタシンとは違うなぁと思ったが、焼きあがったカタシンを食べて、そんな思いはどこかへ行ってしまった。
これがまた旨いのだ。

ザブトンは相変わらずの旨さ。
ザブトンほど脂の旨みを感じられる部位も少ないだろう。
そして、ザブトンの脂とよろにくのタレがぴったりなのだ。
うーん、見事である。

今回のミスジはいつも以上に素晴らしい。
美しい姿、芳醇な脂、柔らかい赤身、全く付け入る隙がないのだ。
当然お代わりしたのは言うまでもない。

マキはかなりの厚切りで出てきた。
若干レアで焼き上げたマキは、いとも簡単に噛み切れ、口の中ですぐに蕩けてしまった。
こんなマキに囲まれたリブロースの芯部分が食べてみたい。
そんな思いに駆られるような一品であった。

今回唯一残念だったのがイチボ。

実は刺身用のサイズしかなかったのだが、お店の好意で新しくブロックから焼き物用にカットして出してくれたのだ。
最初に食べた刺身の味を思い出しながら、イチボに噛み付くとすんなりとは噛み切れない。
焼きが微妙に足りないこともあるだろうが、若干硬めに感じてしまった。
脂と赤身の甘みからいい肉であることは分かるのだが、もう少し薄切りで食べてみたかったというのが正直な感想だ。

〆の素麺を食べ終えたところでサプライズが訪れた。
あまりにその日のシンシンが良いということで、シンシンをサービスしていただいた。
見事なサシである。
しかし、焼きあがったシンシンは見た目とは違い、脂よりも赤身の旨みが強く、しかも柔らかかった。
確かにこんなシンシンは滅多に口にできない。
これも刺身で食べてみたかったが、さすがにそんな事は言えなかった。

いったい次回はどんなMeatを食べさせてくれるのだろうか。
期待せずにはいられない。