No Meat, No Life.

横浜の魚屋の長男として生まれたが、家業を継がずに肉を焼く日々。

2010年2月2日 よろにく

やっと行ってきました。
私の中では不動のNo.1焼肉店”よろにく”に2010年になって初訪問。
1月にはVANNEさんに会ったり、お店自体には行ったりしていたのだが、”よろにく”で焼肉を食べるのは2010年になって初めてなのだ。
焼肉に入る前のお肉の前菜はしっかりと肉料理として完成された域に達している。
これほど完成度の高いお肉の前菜が食べられる焼肉屋さんは、”よろにく”と”ゆうじ”くらいではないだろうか。

ぶつ切りユッケは蕩ける食感のユッケではないが、これほどお肉の味が濃いユッケは他では食べれない。
久しぶりに“よろにく”に来たことを実感させてくれる旨さ。

軍艦巻きはお肉の甘みが更に際立っていて、お肉とご飯と海苔のバランスも良く、非常に旨い。

握りはお肉自体は非常に旨いのだが、ご飯が強く握られ過ぎているような感じでバランスが良くない。
お肉が旨いだけに非常に残念。

タンユッケは食感の柔らかな部分と筋っぽいところが交じっており食感が心地よく、タンの旨みも十分。

巻きのタタキは初めて食べる一品。
蕩ける食感と甘みは最高で、巻きの刺身と食べ比べてみたくなる。
個人的にちょっと残念だったのが、ポン酢系のタレがかかっていて、冷たいタタキには酸味が強すぎると感じた。

タン元は見事なブロックで、まさにタンの根元の中心部を切り出したのがよく分かる。
1切れ目は塩で食べたが、奥歯に心地よいサクサクとした歯応えと強烈な旨みにノックアウト寸前になる。
2切れ目は生醤油を付けて炙ってから食べたが、醤油の香ばしさとタンの脂の甘みが素晴らしいハーモニーとなっている。
ここまで旨いタンを食べたのは本当に久しぶり。

ササは口の中で蕩けながら強烈な甘みを残してくれる。
この脂の甘みが塩ダレで非常に際立って旨い。

タテバラも珍しく塩で。
お肉自体の味が濃厚でジューシーな1切れ。

久しぶりの”よろにく”ということもあり、あまりの旨さに前半ですでに心は大満足になってしまったが(勿論、身体(胃袋)はまだまだこれから)、いよいよここからがタレ系である。
ハラミは肉繊維を噛み切る毎に溢れてくる肉汁がとにかく旨い。
お肉の旨みは当然素晴らしいのだが、それ以外にもモミダレとのバランスが突出している。
ここまで上質なハラミでなくても、恐ろしく旨く感じてしまうかもしれない。

巨大な塊で焼き上げるのはカイノミ。
食べやすく入れられた隠し包丁の切れ目からは、綺麗なサシの入った断面が見え隠れしている。
肉汁を大量に含んだカイノミは赤身が驚くほど柔らかく、とにかく旨いの一言しか出てこない。

カイノミと同様に塊で焼き上げるのは中落ち。
こちらはバラ特有の甘い脂がたっぷりだが、不思議としつこさはない。
この脂の軽さが”よろにく”の他店との肉質の違いなのだろう。

カイノミも中落ちもお肉自体の旨さもすごいが、モミダレの良さによって更に旨さが増している。
“焼肉としての旨さ”を存分に味あわせてくれる食べ方だ。
シャトーブリアンは薄切りのタレで。
あっさりとしているのに、赤身の旨みがしっかりとしている。
丸めて食べると肉の層に空気が入って、ただでさえ素晴らしい食感がより一層増す。


今回のシルクロースはサーロイン1枚で大判。
この姿を見ただけで、全員笑みがこぼれている。
これに卵の黄身をお願いして、すき焼き風に一口ご飯と一緒に食べてみる。
まさに“サー(Sir)”の称号に相応しいロースで、とにかく旨すぎる。

厚切りのサーロインは香味野菜と一緒にポン酢でさっぱりといただく。
シルクロースでも感じたが、今回のサーロインはいつもにも増して旨い。
サーロインの甘みとポン酢のハーモニーが抜群である。

お肉最後は年末にもいただいた出汁ミスジ
ネギとエリンギを焼いてから出汁の中に投入し、炙った赤ミスジも投入して一緒に食べる。
これは非常に旨い。
年末に食べた時とはぼんやりした味わいの印象であったが、今回はそれぞれの旨さがはっきりとしる。
実は今回、赤ミスジ胡麻油でもんであるとのこと。
これだけで味わいが全然違うのが驚きである。
最後は残った出汁にご飯と海苔を投入して雑炊に。
これも〆には最高の旨さである。



〆といっても、さらに素麺やデザートもその後に食べたのだが。
肉質、カット、味付け、料理の構成、どれをとっても“よろにく”は間違いなく最高である。
他のお店との差がまた一段と付いてしまった印象を受ける。
“よろにく”は今まで誰も辿り着けなかった境地に到達しようとしているのかもしれない。