No Meat, No Life.

横浜の魚屋の長男として生まれたが、家業を継がずに肉を焼く日々。

2011年9月28日 和牛焼肉 KIM

生肉送別会の第2弾。
今回は事前に料理長にいくつかのお願いをさせてもらっていた。
一つ目は、生肉送別会に相応しく、生肉多め。
二つ目は、ヒレカツが食べたい。
三つ目は、"KIM"でしか食べれないような特製ハンバーグが食べたい。
そんな楽しみもありながら、生肉送別会が始まったのだ。
さすがは生肉送別会というべきか。
初っ端からこの飛ばし方に驚いたのが、ヒレのタルタル。
最初で最後になるのは勿体ない完成度。

刺身の盛合わせは贅沢なタン、ハラミ、トモサンカクの盛合わせ。
数日前の"よろにく"もそうなのだが、何故生で食べても、こんなに旨いタン元があるのだろうか。
ハラミは肉繊維1本1本が主張する刺身。
しびれるね。
トモサンカクの蕩け具合はすごい。
これが食べれなくなるなんて・・・。



刺身の盛合わせは2皿目が待っていた。
驚きのカタサンカクととサーロインは厚切り、そしてタン素麺。
厚切りな上に生なのだが、硬さは感じない。
感じられるのは、和牛本来のコクで、なんとも芳醇な香りを鼻に抜ける。
旨みも強く、肉好きの精神状態をおかしくするような求心力あり。
肉素麺は何度か食べたが、タンの肉素麺なんて初めて。
タン元のほのかな甘みを出汁さらに際立たせている。



定番の湯引きミノと白センマイ刺しも健在。
白センマイ刺しは定番メニューだが、何度食べても飽きることはない。
センマイのシャキシャキ感と野菜のバランスも抜群。


握りの盛合わせは、ユッケ軍艦、炙りウデ握り、サガリ握り、トロ握り、三角バラ手毬寿司と豪華な5種盛り。
シャリに一工夫があり、食感や甘みといったそれぞれのネタの良さを活かした握りが筆舌に尽くしがたい。
これだけでお店が出来てしまうのではないかと思われるが、これも9月いっぱいとは・・・。





やっと焼き物のお皿になって、まずはタン元とハラミ。
根元部分を贅沢に丸々切り出したタン元は、ムッチリとした噛み応えと濃厚な旨みが最高の証。
見た目通りの極上な味わいのハラミは、止まることのない肉汁の洪水に驚愕。



サラダで小休止だが、"KIM"の肉サラダは今回も予想を裏切らない。
イチボと長芋のサラダは、イチボと長芋の食感のコンストラストが新鮮。
サラダを引き立てるお肉。
お肉を引き立てるサラダ。
唯一、大好きと胸を張れるサラダは"KIM"にあるのだ。

一般的ではなく"KIM"だけでの呼び名と思われるが、サラダの次はボインちゃんのステーキ。
ボインちゃんというのはイチボとサーロインのつなぎ目で、最もサーロイン側のイチボと最もイチボ側のサーロインを食べ比べる。
絶妙な火入れでお肉自体の旨さもすごいのだが、牛肉と茸類の旨みが余すところなく抽出されたソースが言葉を失うレベル。
無理を承知でバケットが無いのか、聞いてしまったほど。
なんとバケットがある、という奇跡に巡り合い、最後はソースを全て食べてしまった。
ちなみにバケットは最後の料理の為に準備されていたとのこと。



焼き物2皿目はミスジシャトーブリアン
この2種は、薄切りのタレで味わう最高の部位とも言える。
上品で繊細な旨みは、5番の雌牛の素晴らしさを十二分に感じさせてくれる。


終盤に差し掛かり、遂に事前にお願いしておいたメニューが登場。
特製ハンバーグのオランデーズソース。
フワフワの食感だが、挽肉1粒1粒から溢れる肉汁がオランデーズソースと絡み合って、見事な調和を見せてくれる。
初めて食べる官能的なハンバーグ。


最後の願い事として運ばれてきたヒレカツは、分厚いシャトーブリアンを薄い衣が優しく包み込んでいる。
ヒレカツ自体の旨さもさることながら、出汁のつけ汁との相性の良さには脱帽するしかない。
最高という言葉しか思いつかない。


〆はちらし寿司。
勿論牛肉のである。
トモサンカク、カメノコ、サーロイン、三角バラが乗ったちらし寿司だが、ご飯の下には何とユッケまで。
生肉送別会の最後を飾る粋な演出に酔いしれる。

焼肉屋さんで焼き物は4種だけであったが、生肉を含めた肉料理の数々に歓喜の言葉が漏れるもにであった。
こんな素晴らしい生肉が食べれなくなるのは本当に信じられない。
しかし、『ありがとう』という感謝の言葉で、生肉にしばしの別れを告げたい。