No Meat, No Life.

横浜の魚屋の長男として生まれたが、家業を継がずに肉を焼く日々。

2012年6月7日 格之進R


肉中毒者ではない普通の肉好きの方には1人焼きに抵抗を感じる人は多いらしい。
確かに大勢でわいわいやっている隣で、1人でテーブルを占領し、もくもくと焼く姿はほんの少しだけ異質に見えるかもしれない。
しかし、そんな肉好きにこそ、試してもらいたい事がある。
それは塊肉を攻めることである。
勿論、1人で。
1人で塊肉に臨み、30分から1時間程度網の上の塊肉と格闘する。
第3者から見れば、恥ずかしいどころか、崇高な儀式のように映るはずだ。
この日の私は、"格之進R"でシンシンを相手に、1人ブロック焼きに挑んでみた。
大人の拳より1回り大きな塊に対して、火のあたる角度を変え、熱源との距離を変え、内部の弾力を確かめたりしながら、塊との対話を楽しむこと30分。

内部まで火が入った塊肉をカットすると、綺麗なピンク色の断面が現れる。
肉汁はしっかりと溢れてくるが、食感としてはドライエイジングによって水分がかなり飛ばされた感じ。
ただ水分量から想像するほど、熟成香はあまり強くない。
肉汁には旨みが乗っていて、塊で食べる醍醐味を味わえる。

うむ、旨かった。
外部との関わりを遮断して、1人塊肉を対峙したが、終わった後のこの充実感は何だろう。
素晴らしい時間を過ごした。