No Meat, No Life.

横浜の魚屋の長男として生まれたが、家業を継がずに肉を焼く日々。

2012年8月13日 七厘

今年"ジャンボ"に次いで訪問回数が多い"七厘"。
その理由は色々あるだろうが、やはり圧倒的な肉質と、それに見合わない値段の安さであろう。
予約時にキープしておきたい幻のタンは、初めてだと高く感じるかもしれないが、一度食べれば、その良心的な価格設定に思わず感謝してしまう。
特に生の黒タンは絶対数が少ないので、なかなかお店にない上に、あったとしても、常連さんでないと食べれない場合や、異常な価格設定をされている場合が多い。
そんな中、この"七厘"では、一見さんも常連さんも関係なく、誰でも良心的な価格で本物の黒タンが食べれるのが凄い。

"七厘"には、質も量も最高峰の悶絶コース(時価)が存在するが、"七厘"の実力を知るためには、まずは7種類の部位が食べられるお任せコースが必食と言える。
塩系からタレ系、赤身系から霜降り系という、従来の常識にとらわれないお任せのトップバッターはタレのサーロイン。
贅沢に掃除されたお肉は、口当たりを邪魔するような筋や脂は一切存在しない。
この空腹時に、インパクトのあるサーロインには、否が応でも興奮してしまう。
更に驚かされるのは、その上質なサシ。
赤身好きでもペロリと食べれてしまうような、さっぱりとした脂である。

サーロイン以外の内容はその日によって違うが、この日はハラミ、カイノミ、ザブトン、ランジリ、ウチモモ、イチボであった。
ハラミとカイノミは、"七厘"では数少ない厚切りで供されるお肉。
厚切りのハラミとカイノミは、その独特な噛み応えと食感を存分に味わえ、濃厚なジュースのような肉汁が溢れ出てくる。


細かなサシが散ったザブトンは、ロースの中でも独特の食感と味わい。
決して味が濃厚なわけではないが、赤身とサシのバランスが取れている。

より赤身の味が濃いのがランジリ。
最近は霜降りが苦手、という方にはぜひ食べて牛肉の旨さを思い出して欲しい。

ウチモモはしっとりとしていて、旨みの濃さではランジリに負けていない。
このウチモモの味わいは雌牛だからこそだろう。

お任せの最後はイチボ。
丸めて食べると食感の良さが活きる。

お任せの事前予約でサービスされるのが切り落とし。
普通にオーダーしても、このクオリティで650円は異常。

最後に追加オーダーしたのがヒレ
赤身のさっぱりとした旨みと、ヒレ特有の繊細な食感が忘れられない。

最近は雌牛や5番にこだわった焼肉屋さんが他にもあるが、肉質だけでなく、それ以外の部分もここまでこだわっているお店は少ないように感じる。
"七厘"のようなお店、中原さんのような焼肉に対する姿勢、を持ったお店が増えると、肉好きとしても嬉しいのだが。