No Meat, No Life.

横浜の魚屋の長男として生まれたが、家業を継がずに肉を焼く日々。

2012年10月10日 虎の穴 恵比寿店


この季節ならではの食材ということで、辛さんに声をかけてもらい、松茸とすき焼きの饗宴に参加させてもらった。
ちなみに、この日の松茸は韓国産、そしてすき焼きのお肉は飛騨牛
前沢牛のツラミ
薄切りと厚切りの2種類のカットで楽しめるのだが、太い筋はしっかりと包丁が入っていて、甘みと適度な噛み応えを楽しめる。
特にこの日のツラミの甘みは秀逸。
満足度 4

センマイ刺し
ここ"虎の穴"で何度食べたか分からないセンマイ刺しだが、この日のセンマイは過去最高の食感と瑞々しさ。
口の中で弾ける食感に胃袋が喜びの悲鳴をあげる。
満足度 5

筋レバ刺し焼き
甘みはそこまで強くないのだが、筋の食感が絶妙なアクセントになっている。
満足度 4

松茸
松茸を2本焼いて、1本はすき焼き用、もう1本は手で裂きスダチで頂く。
普段食べ慣れていない食材とはいえ、香りと食感の素晴らしさに唸るしかない。


すき焼き
すき焼きというよりは、すき鍋といった感じで初めての料理に近い。
鍋で九条ネギに火を入れ、その後に醤油、砂糖、出汁を入れて鍋のようにする。
まずは飛騨牛のロースをその中に投入し、辛さんの号令と共に一気に九条ネギと一緒に食べる。
割下自体は甘みは控えめなのだが、お肉の甘みがそれを補い、絶妙な仕上がりとなっている。
立続けに3切れ一気に頂く。
満足度 5



はぁ〜旨い。
もしかしてこれで終わり?と不安になる一同の前にお肉を現れたのだが、春菊を巻いている。
これも辛さんの火入れを見極めた合図と共に食べる。
春菊の苦味とお肉の甘みのコラボレーションの素晴らしいことと言ったら・・・。

続いて、韓国ネギと共に。
割下に負けないネギの香りとお肉の香りと複雑に絡み合い、鼻に抜けていく。

山エノキは、プチプチとした独特の食感が活きていて、お肉の食感と合わさり、さらに昇華していく。

そして白菜。
お肉の柔らかさとシャキシャキの白菜のコンビネーションには、ショックを受ける。
食感はお肉が白菜を引き立て、旨みは白菜はお肉を引き立てる。
なんという組み合わせだろうか。

九条ネギは韓国ネギよりも甘みが強く、味わいがすっきりしている。

やっと登場したのが松茸。
これを待ち焦がれていたのが、今までの野菜の数々の旨さに驚かされてきたが、この松茸の圧倒的な香りからくる存在感には、他の食材が霞んで見える。

お肉を食べた後は、京都から取り寄せた豆腐を丸のまま投入し、ほんのり温まったところをスプーンですくって食べる。
『熱い豆腐は旨くない!』という辛さんの言葉どおり、大豆そのものの味と香りが見事に引き出されている。

最後は松茸ご飯。
これが旨くないわけがなく、予想通りというか、予想を超える味わいに気を失いそうになる。

また、お肉と野菜の旨みをまとった割下を使った松茸ご飯牛丼も。


今回のすき焼きは辛さんにほぼ全て火入れをしてもらい、お代わり分を自分で火入れしてみたが、その違いは一目瞭然。
完璧な火入れによって、お肉と野菜の旨みと食感を最大限に引き上げる技術に脱帽するしかない。
火入れ以外にも流れも計算しつくされていて、どんどん野菜の甘みが割下に加わり、味が微妙に変化していく。
また、最初はお肉が主役だと思っていたが、巻物からは野菜が主役という印象。
これはネガティブな意見ではなくポジティブな意見で、野菜をほとんど食べない私が、こんなに野菜の旨さに感動するなんて、自分でも驚かざるを得ない。
松茸ご飯