No Meat, No Life.

横浜の魚屋の長男として生まれたが、家業を継がずに肉を焼く日々。

2013年5月14日 虎の穴 恵比寿店


冷蔵設備などの面で、昔に比べてホルモンの流通が各段が良くなり、鮮度の良いホルモンを食べるのにそれほど苦労しなくなった。
しかし、鮮度の良いホルモンを仕入れただけで旨いホルモンが食べれるわけではない。
臭みを感じさせない為の徹底した洗浄・下処理、食感を最大限に楽しむ為のカット、ホルモンそのものの素材の旨さを引き立てる為の味付け、そして旨みを膨らまし食感をより際立たせる為のロースター。
これら全てに一切の妥協を許さないホルモンが食べれるお店は今でも少ないのではないだろうか。
"ゆうじ"、"スタミナ苑"、"鯉登り"といったお店が頭に浮かぶが、"虎の穴"は"ゆうじ"と並び私の中では最高峰のホルモンが食べれる双璧だ。
(サクッとした食感のタン元は2種類の厚さで)

(鮮度の良さが輝きから伝わるセンマイ)

"虎の穴"で最高のホルモンを最高の状態で最高に楽しむ為には作法が存在する。
まず店主である辛さんにお任せをお願いする。
その日一番の極上品は辛さんが知っているのだ。
続いて、お任せコースが始まったら、基本的に出されたメニューは出来るだけ早く食べる。
ベストの状態で出されたメニューを放置してしまっては、最高の状態からどんどん遠ざかってしまう。
続いて、辛さんが焼いてくれるのであれば、焼きは辛さんに一任する。
私はここまでホルモンの火入れを研究している方を他に知らない。
自分で焼くのも焼肉の楽しみの1つだが、せっかくなのでお任せしてみてはいかがだろうか。
最後に、網の上にホルモンが乗せられた瞬間から口に入れるまで、会話は極力減らし網の上に集中する。
焼いてくれるのは辛さんだが、辛さんがどうやって火入れをするのか、その全てを逃さず見て欲しい。
1つ1つの部位が焼き上がるまでが1つの物語のように感じたなら、それは辛さんとホルモンとあなたが繋がった証拠だと思う。
(歯切れ抜群のシマチョウ)

(究極のホルモン、ヤン)

最高のホルモンを味わえることを祈ります。
そして私も最高のホルモンを味わう為に"虎の穴"に通い続ける。
この日も、そんな事を再認識してしまう最高の焼きであった。
(最後は必ずダメ人間セット)