No Meat, No Life.

横浜の魚屋の長男として生まれたが、家業を継がずに肉を焼く日々。

2013年10月17日 すき焼割烹 日山

すき焼きの老舗として有名な日本橋の"日山"。
人形町駅の真上で、大通りを歩いていくと突如現れるレトロな建物がお店である。
玄関で靴の整理をしてくれる従業員の方の動きを見ると、まずます老舗のお店に来たことを実感する。
すき焼きは松(スペシャル)、竹(特上)、梅(上)といった具合に3種類用意されており、部位や個体で値段が分けられているようだ。
流石と思わせるのはその肉質。
松竹梅とあるのだが、梅でも黒毛和牛らしい深い味わいをしっかりと感じさせてくれ、竹、松と進むにつれ、上品なサシの甘みが口いっぱいに広がる。
このさっぱりとした上品な甘みが割下と絡み合い、すき焼きという日本の伝統文化をまざまざと感じさせてくれる。
ちなみにお肉のカットは、すぐ近くにある"人形町今半"と比べると若干厚め。
梅(上)

竹(特上)

松(スペシャル)

老舗のすき焼き屋さんらしく、すき焼き以外にもしゃぶしゃぶやステーキもあるので、ヒレステーキとサーロインステーキも。
ヒレステーキは予想通りというか、老舗のすき焼き屋さんにありがちな火の入り具合で、中までしっかりと茶色に火入れされている。
だが、驚かされるのはその柔らかさで、火の入り過ぎとは思えない仕上がり。
しかも旨みも感じられるので、これは絶妙な火入れで食べてみたかった。。

サーロインステーキも同じように十分過ぎるほど火が入っている。
トラディショナルスタイルの鉄板のお皿で、自分の脂をたっぷりと身にまとっているが、嫌なしつこさは感じさせない。
それの肉質の良さだろうか。

全般的に肉質は老舗らしい素晴らしいものが揃えられている。
ただ残念なのが、その調理自体の時間が止まってしまっているように感じること。
老舗の伝統を守るのは大事。
だが、伝統を守りながらもより良くなる為の進化は必要だと思う。
全てが昔のままが一番というわけではないと思う。
そのポテンシャル故に、ちょっと勿体無く感じるのは私だけだろうか。
最近ちょっと元気が感じられないすき焼き業界だが、こういったポテンシャルの高い老舗が動き出した時に、すき焼き業界の更なる発展があるのではないだろうか。