No Meat, No Life.

横浜の魚屋の長男として生まれたが、家業を継がずに肉を焼く日々。

2013年10月22日 ジャンボ 白金店

この日私はただただ自分の思い込みを恥じ、そして反省した。
愛して止まない"ジャンボ"にはいくつかの店舗がある。
"ジャンボ"発祥の地篠崎の構える本店、本店の大将の息子さんである若が指揮を取る本郷店、最近本郷店の目の前にオープンしたはなれ、そして白金店だ。
今まで何度か白金店に足を運んだことがあるのだが、そこは"ジャンボ"であって"ジャンボ"でないお店のように感じた。
本店や本郷店と比べて総合的な満足度がワンランク下だったのだ。
その原因は白金店だけが本店とは経営母体が違うからだ、と個人的に思っていた。
ところが久しぶりに足を運んだ白金店にはただただ驚かされた。
なんとなく本店に近づけるようなマニュアルっぽさを感じた接客がなくなり、自然な肉愛を感じる接客に変貌し、肉質も本店と全く遜色ないレベルになっているではないか!
最初のハツ刺しは、最初から薬味が乗っていて味付けもされているのだが、それが絶妙な按配。
臭みもなく心地良い食感にテンションが上がる。

塩系の盛り合わせも本店より若干優しい味付けで本郷店に近いかな。

ここから驚かされたのだが、テーブルに運ばれてきたのは牛タンのキッシュ。
焼肉屋さんでここまでのものがでてくるとは。

レバは勿論焼き用だが、そのお皿からはしっかりとしたメッセージが受け取れる。

レバは焼いたが、ユッケは生で食べます。
『正真正銘のユッケ』と銘打たれたメニューで、ここまで旨いユッケは本当に久しぶりに食べた。
味付けも素晴らしいが、肉が本当に旨い。
やはり生肉は偉大な存在だ。

本店譲りの野原焼きも顕在。
小振りのサーロインで私好み。

カタサンカク、ランボソ、シンシン、ミスジは"ジャンボ"らしい薄切りタレで。
カタサンカクとシンシンは流石と思わせる完成度。
お肉自体の味わいが薄かったランボソだが、このカットとタレで十分満足できてしまうのが恐ろしい。
"ジャンボ"の代表的な部位であるミスジは、どこまでの細やかな肌理で繊細さの極致にある。




薄切りの塩はザブトン、トモサンカクにヒレ
ザブトンは本店で定番化しているが、トモサンカクにヒレも塩には驚かされる。
特にヒレについては、淡白な味わいを予想していたが、見事に予想を裏切るようなしっかりとした旨みがある。



〆は悩んだ挙句に『木の子のあんかけ鉄鍋焼きそば』。
焼肉屋さんとは思えないようなしっかりとしたクオリティのあんかけ焼きそばで、牛肉もたっぷりと入っている。
さっぱりな〆では物足りないという方にはぴったりだろう。


食べ終わると同時に思ったのは、この白金店が紛れもない"ジャンボ"であったこと。
本店や本郷店と同様に"ジャンボ"らしさを強烈に感じることができる。
根幹である"ジャンボ"らしさを持ちながら、他の店舗とは違った豊富な新メニューや雰囲気から、今まで白金店に抱いていた過去の印象を全て払拭することができた。
本店、本郷店、はなれ、そして白金店といったそれぞれの店舗が"ジャンボ"らしさを守りながら、それぞれ違ったお店を作り上げている凄さをまざまざと見せつけられてしまった。
お互いに切磋琢磨しまう、まさに"ジャンボ"戦争の始まりではないだろうか。