No Meat, No Life.

横浜の魚屋の長男として生まれたが、家業を継がずに肉を焼く日々。

2012年12月31日 自宅(銀座吉澤)

2013年の締めくくりはやはり家族ですき焼き。
これは小さな頃からの恒例行事だが、ここ数年変わった事といえば、1年を締めくくる為のお肉を私が準備し、それを焼き上げる役割を母親から私に引き継がれたこと。
ちなみに私の父親は今でも魚屋を営んでいる生粋の魚男だが、母親は『いい肉の日(11月29日)』生まれの生粋の肉女と言える。
お肉の購入には毎年頭を悩まされてきたが、"銀座吉澤"でお肉を購入した昨年からはその悩みは跡形もなく消し飛んだ。
そして、その"吉澤"もこだわりは産地、生産者、血統、月齢、雌だけに留まらず、1頭1頭じっくりと枝肉を吟味し、個体そのものの品質で目利きに適ったものだけを競り落としているのだ。
今年"銀座吉澤"で購入したのはすき焼き用ロース1kgなのだが、兵庫(鳥取)の田村さんが肥育した月齢36ヶ月の純但馬血統(丸宮土井)の雌と三重の堀井さんが肥育した松阪牛(もちろん松阪牛なので雌)を500gずつという罰が当たりそうな贅沢さ。

田村牛は月齢の長さを感じさせる濃い肉色。
小豆色のロースをすき焼き鍋の中で躍らせると、お肉の焼ける何とも言えない音が周囲に響き、割下を身にまとっていく。
その味わいはとにかく深い。
割下と卵をまといながらも主役はお肉であることを強烈に主張する存在感。
それでいて割下や卵はもちろん、ネギや椎茸といった脇役達を決して否定することなく、共に高めあうようなゆとりすら感じる。
ここまでハイクオリティのお肉を我々一般人が購入するとなると、もはや"銀座吉澤"以外では不可能なのではないだろうか。

田村牛500gがあっと言う間になくなり、続いて松阪牛
これぞ松阪牛と言わんばかりのサシと色艶。
そして、ふんわりとしていながら上品でまろやかな甘みが素晴らしい。
黒毛和牛を最高の状態で食べるためのすき焼きの凄さを十二分に感じさせてくれる。
実は昨年の大晦日も堀井さんの松阪牛ですき焼きを食べているのだが、今年は香り、脂の甘みやキレ、肉自体の旨みといった面で昨年を全て上回っている。
本当に素晴らしい仕上がりだ。

2013年を締めくくるに相応しい最高の牛肉を食べ、来る2014年に向けて新たな誓いを立てる夜。
生産者、お肉屋さん、焼肉屋さんをはじめとした飲食店の方々のおかげで、2013年も心から感動できる牛肉をたくさん食べることができました。
この場を借りて御礼申し上げます。
2014年も引き続きよろしくお願いします。