No Meat, No Life.

横浜の魚屋の長男として生まれたが、家業を継がずに肉を焼く日々。

2014年1月20日 IDEA 銀座


2013年10月、東京・銀座にまた一つステーキの名店が誕生した。
"トロワフレーシュ"で料理長を務めていた一宮さんが独立して、炉釜による神戸牛をメインに扱うステーキ屋さんをオープン。
しかも炉釜での焼き担当として、"あら皮"や"トロワフレーシュ"でも炉釜を自在に操った菅井さんも一緒だ。
フレンチの料理人時代に出身地である神戸の"あら皮"でステーキを食べて、この世界に魅せられてしまったという一宮さんが目指しているのは神戸の"あら皮"で山田二郎さんの焼いていたステーキ。
その故、扱うお肉は但馬血統である神戸牛がメイン。
ただし、赤身好きのお客さんの要望にも応えられるように短角牛も扱っている。

オープンしてすぐに行きたかったのだがなかなか都合が付かず、年をまたいでやっと1月に訪問することができた今回、いったいどんなステーキに出会うことが出来たか。
黒毛牛タン炭焼き
ステーキ屋さんでは珍しく黒タンがメニューにある。
あれを炉釜で焼くとどうなるのか!?
表面の凝縮と内部の水分の膨張でパンパンに膨らんで登場した黒タン。
カリッと焼かれた表面にナイフを入れると、見事に中心まで火の入ったピンク色でなんとも色っぽい。
カリッカリッとした表面は焼肉屋さんのロースターでの焼き上がりとはまるで別物。
そしてこれほどの分厚さにもかかわらず中心まで熱が届き、表面の紙1枚より下から官能的なぷるぷる感が初体験の境地だ。
満足度 5


コンソメスープ
1口目はちょっと薄味で塩が足りないかと感じたが、2口3口と飲み進めていくうちに丁度良く感じるようになり、そのしっかりとした旨みに気付く。
満足度 4

神戸牛ヒレステーキ
これほど分厚くヒレを出してくれるお店には滅多にお目にかかれないが、それも焼き技術への絶対の自信の表れだろう。
私の写真でどこまで伝わるかの不安だが、中まで均一に入った熱が巨大な肉塊をふんわりとした食感に仕上げてくれる。
また極薄で仕上がった表面はパリッとしていて、全体のアクセントにもなっている。
旨みも申し分なしで最高峰という表現が相応しい。
満足度 5



神戸牛サーロインステーキ
ヒレに比べて強めに火入れがされたサーロインはクレームブリュレを彷彿させるパリパリ感。
それが内部のジューシーな火入れと見事にマッチしている。
食べ進めると脂の重さを感じてしまうはちょっと残念だが、その個体の良さを出し切るような焼き方をしているのが強めの火入れからよく分かる。
これも焼き手の力量の素晴らしさだろう。
満足度 4



最初の方にも書いたが"IDEA"が目指しているのは神戸の"あら皮"と同等以上のステーキ。
それ故純但馬血統の神戸牛を扱っているのだが、オープン間もない今の段階では品質の安定を目指している為に、中西牧場の去勢が多く入ってくるそうだ。
それらも確かに素晴らしい。
だが、料理長の一宮さんは現状に満足せずにより良い神戸牛を仕入れる努力を全力で行っている。
次回お店を訪れた時にはどんな神戸牛に出会えるのだろうか。
そしてどんなステーキに出会えるのだろうか。
神戸の"あら皮"を超えるようなステーキに東京で出会えることがあるのならば、肉好きにこれ以上の喜びはないだろう。