No Meat, No Life.

横浜の魚屋の長男として生まれたが、家業を継がずに肉を焼く日々。

2014年2月12日 TROIS FLECHES トロワフレーシュ



素材一流、技術一流、サービス一流。
血統や生産者はもちろん個体個体の良し悪しを見抜く確かな目利きで選ばれた極上の雌の黒毛和牛を中心に、ガッシリとした赤身を好む人には短角牛やフランスのオーブラック、さらにはドライエイジングで風味と食感が高められた経産の黒毛和牛等が揃えられている。
それらの素材を更にワンランク引き上げるのが炉窯での見事な火入れ。
最後はブロックからお肉を選ばせたりするプレゼンテーションや、食べ手のテンションを沸かせる素晴らしい接客。
これらが全て兼ね備えられているのが"トロワフレーシュ"であり、これ以上何を求めよというのか!?
この日は全国の「超」のつく一流店でお肉を食べ続けてきた方と会食ということで、用意されていたお肉のラインナップも凄い。
黒毛和牛は岩手の奥州牛のヒレとサーロインに兵庫の川岸牧場の神戸牛サーロイン、赤身は岩手の短角牛のサーロインにフランスのオーブラックのサーロイン(骨付き)、ドライエイジングによる長期熟成は佐賀牛のサーロインといった具合だ。




言うまでもなく全種類食べたかった。
ただ、ステーキにする適度な厚さを考えると、どうしても全種類は食べれないのだ。
お肉を選ぶ苦悩の時間も今となっては良い思い出かもしれない。
前菜には奥州牛サーロインの炙り。
奥州牛はこだわりの生産者が多いイメージだが、それを裏切らない味わい深さ。
また軽く炙ることで、熟成香がまろやかに膨らみ、口に含むとそれが鼻腔をくすぐる。
満足度 4


前菜には他に河豚の白子等を食べ、いよいよステーキに突入する。

まずは短角牛サーロイン。
同じ赤身の強いオーブラックは骨付きということで最後まで悩ましかったのだが、短角牛らしさと月齢の長さからくる旨みの濃さを想像してこちらを選んだのだ。
その予想は見事にはまった。
サシが少なくピュアな肉汁の味を感じることができるのだが、それが見事な力強さ。
初めて"トロワフレーシュ"で食べた時の個体を思い出させる旨さだ。
満足度 5



一般的にはサーロインのストライクゾーンは本当に狭いが、ヒレは他の部位に比べてかなり広いと思う。
だが、この日の奥州牛ヒレような本物の中の本物を食べてしまうと、普段食べているヒレとの違いを感じずにはいられない。
どこまでも肌理が細かい食感は絹豆腐のようで、口の中全体を包み込むふくよかな味わいの余韻は官能的だ。
満足度 5+


肉好きであればどうしても外せない川岸牧場のサーロイン。
しっかりした食感でありながらサシの甘みが一気に広がる。
赤身本来の旨みと脂の質感から最高級のポテンシャルが伝わるのだが、特に厚切りのステーキなのであと少し寝かした方がより旨みが引き出された印象を受けるのがちょっと勿体無い。
これは今流行のドライエイジング云々ではなく、伝統的な骨付きでの枯らしの期間がちょっと短すぎたのでは?ってこと。
満足度 4(限りなく5に近いのだが。。)



経産の佐賀牛を滋賀のサカエヤでドライエイジングした個体のサーロイン。
前回食べた個体は熟成香があるのだがそれが強すぎず旨みも強い。
ほど良い熟成感で、ドライエイジングを大きく謳っている牛肉の中では今までで一番好みだったのだが、今回はそれともちょっと違う。
脂のついていない部分はドライエイジングらしい特徴は弱いのだが、端の脂の部分は強烈な熟成香。。
ただやはりサカエヤのドライエイジングは食べやすいですな。
満足度 4


肉そのものの良さを最もダイレクトに感じさせてくれる炉窯のステーキ。
それ故食べる度に個体による楽しみ方もまた変化する。
それは間違いなく喜びのある変化。
最高のステーキには感謝しか沸き起きないですな。