No Meat, No Life.

横浜の魚屋の長男として生まれたが、家業を継がずに肉を焼く日々。

2014年10月27日 Cossott'e SP

私の目に映る店主・込山さんの焼肉は天才肌。
これ以上でもなくこれ以下でもない絶妙な味付けの安定感。
「試しに作ってみました』と言う新作メニューの完成度。
何気なく肉に包丁を入れれば、ここ以外ないという絶妙なカット。
本当は陰で幾重にも及ぶ試作や苦労をされているのかしれない。
しかしそんな事を全く感じさせずに、さくっと仕事をこなしているように見えてしまう。
この日の立ち上がりは梅パッチョ。
梅の酸味がアクセントになって、これから始まる怒涛の込山スペシャルへ挑む気持ちにスイッチを入れてくれる。

ミノは昆布締めされ、食感は貝類そのもので、何も言われなければ気付かない人もいるだろう。

ここからロースターに火が入る。
スペシャルはサーロインの薄切り、更にスペシャルを使った手毬寿司。
生食が可能だった頃の羨みつつ、火を入れてから食べる。
それにしても口の中で広がる甘みは、すっきりと軽く、霜降りが苦手と言う人にこそ食べて欲しい逸品。


レバはとろりと舌の上で蕩けるタイプで、甘みも申し分ない。

スペシャルよりも僅かに厚くしたサーロインは焼きしゃぶとして。
ポン酢と香味野菜の組み合わせがよりサーロインの香りを引き立ててくれる。
それにしてもこういったサーロインを食べると、肉の能力が一番感じれるのは間違いなくサーロインだろう。

三角バラをこの厚さで食べて笑みがもれるのは、今の時代滅多に起こりえない。
それほど脂の質が良い牛が減ってきているということなのだろうか。
一昔前の特上カルビに頬が緩みっぱなし。

"コソット"以外ではほとんど見かけない漬け。
今回はクリを漬けにしているが、上質な赤身は鮪を超える。

ホルスや輸入のドライエイジングもありだと思うが、本当に赤身が好きならこの分厚い内モモを食べてみるべき。
前歯の侵入を防ごうとする食感、歯茎に広がる強烈で説得力のある旨み。
言葉を失う芸術品かもしれない。


内モモとは食感も味の方向性も違うサガリだが、この奥歯に絡みつく独特の旨みは秀逸。

名前だけ聞くと謎のメニューなのがリブロースの羽。
僅かな筋っぽさがありながら、矛盾しているように聞こえるがフワフワともしている。
甘みは想像通りしっかりと。

〆を待つ間にもう一度レバ。
レバテキの絶妙すぎる味付けに箸に勢いが増す。

そして〆は、込山さんが思いつきで作ってみたと言うモツ鍋。
ピリ辛でモツたっぷりの鍋に、仕上げる厚切りのレバが投入されるのだが、このレバの甘みはもはや言葉に表せない。
そして滋味深い味わいの出汁にプリプリのコプチャン


これにて込山ワールド終了。
やはり天才肌。