No Meat, No Life.

横浜の魚屋の長男として生まれたが、家業を継がずに肉を焼く日々。

2014年12月5日 焼肉 しみず



BSE騒動以降、正肉は個体識別番号によってその個体の生産・異動情報が管理されるようになった。
一方、内臓は個体識別番号の管理が義務付けられておらず、流通上の問題でその個体の個体識別番号を把握することは非常に困難だ。
そして内臓をお店で食べた場合、その内臓が新鮮かそうでないか、ということ位しか我々は分からない。
後はお店の下処理やカット、味付けの技術次第と言える。
そんなブラックボックスである内臓の流通だが、今回は無理なお願いをして、遂に個体を判別できる内臓の入手に成功!
一度は食べてみたかった川岸さんの純但馬牛の内臓を1頭分丸々で、個体識別番号[1381599343]はもちろん、血統[福芳土井-照長土井-谷福土井]まで分かる個体だ。
これをまたまた無理なお願いをして、”しみず”に持ち込んで食べさせてもらった。
スターターはタン。
川岸さんの純但馬牛の黒タンは、普段見慣れている黒タンと比べて圧倒的に小さく、確保できる根元も少ない。

タンは普段"しみず"で食べる黒タンと食べ比べ。
"しみず"のタンは相変わらず都内屈指のハイクオリティでジューシーな肉汁に濃厚な旨みが詰まっている。
ところが、川岸さんのタンを一口噛み締めるとその違いに目が覚める。
サシは入っているのだが、ここまでサシがあっさりとしたタンは初めて。
何より心地良い弾力と凝縮しまくった旨みが初体験の境地だ。
(左:普段の"しみず"のタン、右:川岸さんのタン)

(普段の"しみず"のタン)

(川岸さんのタン)

ハラミとサガリの横隔膜セットも異常。
ハラミの猛々しさもさることながら、サガリの肉繊維の自己主張と溢れ続ける旨みは数年に一度のレベルだ。
(ハラミ)

(サガリ

また、驚かされたのがコプチャン
一瞬シマチョウかと思うような艶やかな皮にプルップルの脂が凄まじい。
(手前:シマチョウ、後ろ:ミノ)


それ以外の部位に関しても、普段食べている内臓とは印象が違うものも多い。
どちらの方が旨いというわけではなく、今回の川岸さんの内臓の方が旨いものもあれば、そこまで差を感じないものもあり、まだまだ経験を積む必要があるようだ。
(レバ)

(ツラミ、ハツ)

(ギアラ)

(ヤン)

せっかくなので、内臓だけでなく川岸さんのシャトーブリアンも持ち込ませていただいた。
(普段"しみず"ではシャトーブリアンは扱っていません)
口の中で、香りと旨みが湧き上がり踊るのは、さすが川岸さんのシャトーブリアンと言わざるをえない。
いくら食べても、もっと食べたくなる極上のステーキ。




〆は"しみず"のお肉で、田村牛の3種盛。
やはり田村牛も素晴らしい。
融点が低く甘みがあるサシとしっかりとした赤身の旨さが絶妙なバランスで融合している。


なんと貴重な体験だろうか。
川岸さんの内臓が入手できたことに感謝し、それを食べさせてくれた"しみず"に感謝してもしきれない。
そして、まだまだ勉強が足りない。
もっと勤勉さが求められている。
とにかく牛と肉が知りたいのだ。