No Meat, No Life.

横浜の魚屋の長男として生まれたが、家業を継がずに肉を焼く日々。

2015年1月7日 都内某焼肉店


年末に衝撃を受けた畑さんの特産松阪牛
年始早々、今度は屠畜後約1ヶ月枝肉で寝かされていた月齢46ヶ月のまたもや畑さんの特産松阪牛の脱骨情報を入手したので、早速購入し都内某所で勉強会を開催。
ちなみに個体識別番号は1336276268、血統は菊俊土井-照長土井-谷福土井。

ランプ、イチボ、ヒレ、そしてサーロイン、どれも丹精込めて育てられた46ヶ月という時間を映し出すような艶やかで深みのある小豆色にうっとりと見入ってしまう。
サシが少ない分、ダイレクトに赤身の味が届くのがランプ。
そのカットの分厚さを微塵も感じさせないしなやか張りのある肉繊維で、その肉色同様、深みのある味は口の中で膨らんでいく。



イチボはそのまろやかな甘みに言葉を失う。
舌の上で上質なバターが溶け出し、バターでは味わえない芳醇な香りと赤身由来の甘みを感じさせる。
この赤身の甘みはレアであればあるほどより舌に響く。




残念ながらシャトーブリアンを入手できなかったが、尻尾側のフィレミニヨンと頭側のテートの両方を。





サシの多く入るフィレミニヨンは火の入りが早く、個人的には火が少し入り過ぎたが、それでも立ち上る香りと飲み込む瞬間まで溢れ続ける旨みに驚かさせる。


テートはランプ程ではないが、とにかく肉本来の味が強い。
食感は繊細で、絹ごし豆腐を彷彿させる。


またテートの贅沢な副産物としてカイノミまで。
ヒレとハラミの良いとこ取りのような味わいに自然と笑みが漏れる。


主役はもちろんサーロイン。
常々口にしているが、サーロインほど肉質の差が出やすい部位はない。
口元に運ぶと鼻腔をくすぐる香り、噛み締めた瞬間に弾けるように広がる旨み、しつこさがなくすっきりとした脂の甘み、繊細でゼリーのような食感の赤身。
その全てが黒毛和牛の到達できる最高峰の世界を映し出す。



純但馬牛という血統、手間とコストをかけた46ヶ月という通常では考えられない肥育期間。
46ヶ月の肥育期間というのは誰もができるわけではない。
牛が餌を食べなくなったり、病気になったり、理想通りに仕上げるには尋常ではない技術が要求される。
畑さんの意地と拘り、そして技術の結晶には、圧倒的な『違い』というものをみせられた。
年に何頭こういった牛が出荷されるのか分からないが、自分の揺るぎない軸と言うものを確認する意味でも、こういった牛を何年かに一度は食べ続けていきたい。

この日は最後に今回お世話になった某焼肉店の通常メニューである部位であるエンピツやハラミを塊で満喫させていただいた。
田村牛のエンピツもやはり凄い。
46ヶ月の特産松阪牛の後にもかかわらず、しっかりと存在感を見せつけてくれた。


ハラミも文句の付けようがない。


やはり某焼肉店は凄みがある。
そして勉強会開催に協力して頂いたことに深く深く感謝したい。