No Meat, No Life.

横浜の魚屋の長男として生まれたが、家業を継がずに肉を焼く日々。

2015年2月4日 平

食事を楽しむ為の要素の一つに、お店の雰囲気というものがある。
それはフレンチや和食といったジャンルだけでなく、焼肉やステーキだって同じだ。
おしゃれなお店で食べる焼肉も旨いが、おじちゃんおばちゃんが営む昔ながらのオンボロのお店で網を囲んでワイワイやる焼肉も最高に楽しい。
もちろんステーキも。
湯島というアンダーグランドな雰囲気を持ち合わせた街、スナックの居抜きそのままのカオスな店内、隣のスナックから漏れ聞こえるカラオケ。
この全てが”平”というお店を語る上で欠かせない要素だ。
そして、これらの要素からは想像できないほどハイクオリティな肉。
冷蔵庫から取り出されて目の前に並べられる肉は、銀座のステーキ店と比べても何の遜色もない。
前菜の刺身もなかなか充実しているが、私はもちろん魚ではなく肉を炙ってもらう。
この日はイチボとランプ。
舌に広がる酸味と甘みのバランスが絶妙で、文句のつけようがない。
昔はこれが炙らずに刺身のまま食べれたのだが。

タンは根元の脂の乗った部分を炙ってくれる。
麦飯にテールスープと共に食べたくなる味わい(笑)


メインのステーキはサシは少ないが、赤身の味が凝縮したランプから。
他の動物に比べて遥かに巨大な身体を支えるランプは噛むごとに深みのある味わいを堪能させてくれる。
黒毛和牛以外の品種のロースを食べ慣れている赤身好きにこそ食べてもらい最高の赤身ステーキだ。


イチボもランプに負けていない。
ランプに比べてサシが入っている分、赤身の味わいに滑らかなサシの甘みが加わっている。
このサシこそ滑らかでしつこさがなく極上の証。

もちろん大好きなヒレも。
表面はカリッとしていながら、中はレアな仕上がり。
贅沢な厚切りだからこそ感じることができる肉繊維の繊細さがある。




肉好きだけの秘密の隠れ家で、極上肉に舌鼓を打つ。
勇気を出して、あの場末のスナックに入った者だけが味わえる最高のステーキ。
勇気と財布だけを手に湯島に向かって欲しい。