No Meat, No Life.

横浜の魚屋の長男として生まれたが、家業を継がずに肉を焼く日々。

2015年2月23日 西洋料理 島


東京ステーキ界には2大流派が存在する。
"あら皮"を祖とする流れには"哥利歐"、"ドンナチュール"、"トロワフレーシュ"、"イデア"、"ヴィティス"等があり、どこも炉窯の魅力を存分に教えてくれる。
もう1つが"ゆたか"を祖とする流れで、"島"、"かわむら"、"ひらやま"、"藤田"等があり、ヒレをメインとし、優しい火入れが特徴のお店が多い。
そんな中で"島"は若干異端児的な存在なのかもしれない。
まず、ヒレだけにとどまらずサーロインへのこだわりも強い。
そして肉を刺した串が回転する特殊な炉窯で火入れが行われる。

この日は肉の前菜を堪能してからステーキへ。
まずはセオリー通りヒレから。
“島”のステーキはサシよりも肉の味へのこだわりが強く、サシは少なめだが、これはロースに限らずヒレも同じような印象を受ける。
細かなサシが散りばめられたようなヒレを優しくいたわるように火を入れていくのが“ゆたか”系に多くみられるが、”島”に限って言えば、繊細さよりも肉々しさを感じさせるギュッとしまったヒレが食べられる。
これは素材だけでなく火入れによるところもある。
この日も水分を飛ばし、旨みが凝縮したヒレは、奥歯が肉繊維に入り込む度に至福の波を生み出し続けた。

さっきも書いたが、”島”はヒレも旨いが、ロースが特におすすめ。
サシの重さが感じられず、赤身本来の旨みが濃厚。
ランプほどの噛み応えではなく、やはりロース特有の適度な食感は本当に素晴らしい。

ステーキの旨さだけでも通いたくなるお店だが、店主の大島さんやその奥様のホスピタリティ溢れる接客と笑顔。
これがあるからこそ、益々”島”の魅力にはまってしまうのだろう。