No Meat, No Life.

横浜の魚屋の長男として生まれたが、家業を継がずに肉を焼く日々。

2015年11月26日 銀座 かわむら


肉に火入れについて、今まで研鑽を積み続けている。
特にヒレの火入れについては絶対的な自信を持っていた時期があるのだが、それでも敵わない焼き手が存在する。
道具ではなく腕の違い。
河村さんのヒレに対する火入れは、同じ道具を使っても現時点の私には到達できない境地。
“かわむら”の凄さは至る所で語られているが、私が思う”かわむら”の凄さはとにかくヒレの火入れ。
現時点では、あれだけは河村さんにしか到達できていないであろう。
この日もいつも通り肉尽くしコース。
前菜ももちろん牛肉で数品。
ここ数回は去勢特有のざらざら感が舌に残ったのだが、今回は滑らかで舌触りで旨い。
透明感のある味わいのコンソメスープは何回飲んでも新鮮な感動がある。

ヒレカツは、今回初めてお願いして厚めにしてもらったのが、これが大正解。
味わいが淡白なヒレなので、今回の厚さの方が、牛肉が衣に負けないように感じる。


いよいよメイン。
“かわむら”で何度食べようとも、どんな物が食べれようとも、このシャトーブリアンを使ったステーキに勝る物なし。
何年間も私の頭の中に存在している理想の火入れが目の前にある。
紙1枚分だけを焼き、内部は温度上昇によって香りと旨みが高まった状態。
そして、ぷるぷるな食感が官能的過ぎる。


いつも通りヒレだけで作ったハンバーグも。

最後はサーロインの牛丼。
去勢っぽい脂質ながら、絶妙な味付け故にペロリと食べられ、ガーリックライスとチャーハンまで食べてしまった。
〆の3カーボに共通しているのは、あっさりとするっと入ってしまうところ。
この辺りにも河村さんの料理に対するしっかりとした軸を感じる。



11月の”かわむら”訪問ということで、周りでは都市伝説に近いあの白トリュフコースをオーダーしてる豪傑達もいる。
私の拳の1.5〜2倍の大きさのアルバ産白トリュフがどのメニューにもふんだんにかけられる。
今まで食べたことのある物とは大きさだけでなく香りの強さも数段違う強烈なもの。
コースの価格も『15諭吉から』ということで数段違うのだが・・・
ちなみにカウンターの中や隣の席から漂ってくる素晴らしい香りはプライスレス。