No Meat, No Life.

横浜の魚屋の長男として生まれたが、家業を継がずに肉を焼く日々。

2016年7月21日 生粋

焼肉は本当に難しい。
高い牛肉を仕入れて、何も考えずに切って出すだけじゃ感動なんて出来るわけがない。
ステーキと違ってたくさんの部位を扱うなら、その違いが感じやすいように、そして旨さを追求しなくてはならない。
久しぶりに行った“生粋”はまさにお手本のように焼肉の可能性を教えてくれた。
労力を惜しんだら辿り着けないクオリティ。
そして抜群のCP。
本当に素晴らしい。
いきなりたまらないのがカメノコを使った牛刺し。
じわ〜と広がる生肉特有の肉の甘みは、待ち焦がれていた味そのもの。

ユッケは甘めのタレと相性抜群で、ペロリと消えてしまう。


一般的に繊維に対して垂直にカットされる事が多いタンだが、”生粋”のタンは繊維にそってカットされている。
このカットならではの食感に、脂の含有の変化を楽しめる。

タンと一緒に運ばれてきたツチノコは塩で。

肩三角はしっとりとしていて、そのポテンシャルは肉の味に表れている。

肉の旨さに興奮状態だったが、そんな私を落ち着かせるように登場したのが握り。
だが、口に放り込めばサーロインの上品な甘みがトロリと流れだし、また気持ちが高ぶってしまう。

“よろにく”で食べれなくなってしまった平ユッケは友三角で。
とにかく至福を約束してくれる。

焼きに戻ればハラミ、シャトーブリアン、サーロインと続くが、どれも見た目の美しさだけでなく、味も本当に美しい。
これが美味というやつですな。


"よろにく"と変わらず定番となっているのがシャトーブリアンとシルクロース。
食感、肌理の細かさ、香り、そして肉本来の旨み。
そられ全てがハイクオリティ。


ミスジは軽く炙ってから出汁に浸し、一気に出汁と一緒に食べる。
肉の旨みと出汁の旨みが相まって、立体的な味わいが生まれる。


ザブトンは”よろにく”と同じようにすき焼き風で、最後にトリュフがたっぷりとかけられる。




様々な部位を飽きずに楽しみながら味わえる焼肉。
素材にも拘っているが、素材に頼り切らない。
発想と手間暇を惜しまないことで生まれる素晴らしいコースに心と胃袋がホクホクに温まった。