No Meat, No Life.

横浜の魚屋の長男として生まれたが、家業を継がずに肉を焼く日々。

2016年8月19日 都内某所

肉好きの友人宅でのBBQ。
マンションの屋上をBBQ用に改造してあり、ステーキ屋かと思うほど立派な焼き台に炭もオガ炭ではなく備長炭を常備している拘りよう。
当然のことながら、この拘りに失礼の無い牛肉を準備するのが私の使命。
イチボは滋賀の岡崎さんの近江牛
月齢はめちゃめちゃ長く41ヵ月の雌で、血統も純但馬の個体だ。
大きな塊をその場で薄切りにし、参加者全員で箸を伸ばせば、その甘みとコクのある旨みのせいであろう、一瞬で無くなってしまう。



究極の贅沢だが、イチボと同じ個体のランプとシャトーブリアン仕入れることが出来た。
分厚いランプの塊を強火で一気に焼き上げる。
表面をカリッと仕上げ、中は均一ではなくグラデーションが出るくらいがランプは旨い。



シャトーブリアンは、値段を考えると恐ろしいがヒレ耳は外して十分すぎる厚みで焼き始める。
他の部位と違って均一な断面に仕上げることで、その繊細さを十二分に感じることができるシャトーブリアンなので、弱火でこまめに裏返しながら火を入れる。
お尻の様な弾力になったシャトーブリアンを切り分けると、そのポテンシャルが溶け込んだ香りに包まれる。
そして舌を包み込み優しく刺激してくる極上の味わい。
不純物が全て排除された牛肉の頂を食べているようだ。




サーロインは兵庫の上田さんが肥育した神戸ビーフの雌。
上田さんは肥育技術に定評のある名生産者だが、肥育専門ではなく繁殖も行っている一貫農家さんである。
そこで上田さんが食べ比べ用に準備してくれたのが、上田さんの牧場の6歳の経産。
しかも12ヶ月の再肥育を行っている。
更にイチボ、シャトーブリアンと同じ個体のサーロインも加えた3種類の食べ比べ。






肉色の濃さはやはり経産。
脂も見た目ほど強くなく、適度な食感の後から訪れる赤身の濃厚な味がある。


上田さんの神戸ビーフも重たさの無い脂の甘みがあり、ジューシーで余韻の長い旨みがある。




岡崎さんのサーロインは味に重厚感のあり、思わず目を閉じて全神経を舌に集中させてしまうほど。





3種類のサーロインは、食べた人の中でも好みが分かれる。
それぞれのベクトルが全く違った食べ比べだからこその醍醐味があり、贅の極みと言ってもいい。
真の肉好き、そして和牛に対する想いの詰まった者だけが集まったBBQ。
これから行う大人の遊び(もちろん和牛)の計画話も盛り上がった。
さて、行けるとこまで行くしかないね。