No Meat, No Life.

横浜の魚屋の長男として生まれたが、家業を継がずに肉を焼く日々。

2016年9月5日 BEYOND B.B ビヨンドビービー


煌びやかなネオンと屈強な外国人が目に飛び込んでくる六本木。
六本木ミッドタウンすぐの路地にそのお店はある。
お店は地下1階。
地下に降りてすぐに不安になった。
入口がすでにチャラい。
店内は更にチャラい。
個室はとにかくチャラい。
田村牛を食べたくてここまで来たが、純粋に肉を好きな人間にとってここまでは肉を期待させるものは何も無い。
むしろ不安要素しかなかった。
しかし、出された肉を一口食べて驚いた。
肉が本当に旨いのだ。
料理は決してチャラチャラしてなかった。
肉に対する気持ちが感じられる火入れだった。
良い意味でここまで第一印象を裏切られたのは初めてかもしれない。
最初に出された炙り握りで一気に印象が変わった。

部位は友三角とイチボ。
友三角はトロッとした甘みが舌に滑り込んでくる。



そしてイチボはシャリにニンニクが効いていてすっきりとした味わいだが、イチボのしっかりとした味は揺るぎない。

小振りのハンバーガーはとにかくの肉の旨さがダイレクトに届く。
ハンバーガーに大事なバランスという視点では満点ではないかもしれなが、挟まれた肉が旨すぎる。

他にもモモ、ランプ、ザブトンを使った前菜。




お店のチャラさでテンションが下がった自分が恥ずかしくなったのはステーキを食べた瞬間。
最初に食べたランプの素晴らしさは言葉にし難い。
繊細で適度な歯応え、歯が入り込むほどに溢れ出る旨み、香りも上品で、何より火入れが申し分ない。
完璧に素材を昇華させている。


イチボも味わい深く申し分ない。


個人的にあまり厚切りが好きじゃないザブトンだったが、このザブトンは違う。
さらっとした脂質で、口の中にクドサが全く残らず、赤身の旨さが主張してくる。



“ビヨンドBB”では田村牛を中心に仕入れている。
確かに田村牛は旨い。
圧倒的に旨い。
しかし、田村牛だからといって全てが最高に旨いわけではないと思う。
牛は生き物。
ブレはかならずある。
だからこそ、田村牛の中でも極上の物だけを仕入れられるお店は強いのだ。
そして、素材に胡坐をかくのではく、素材をリスペクトして、愛情を持って素材に向き合うことで旨い牛肉が食べられる。
まだまだ改善できる箇所もあるが、料理長の取り組み姿勢を見ていれば、これからだんだんと隙がなくなっていくのも確信できる。
シンプルに肉を焼いたステーキの旨さがその証だろう。
ちなみに今回は光栄にも田村さんご本人と一緒に田村牛を堪能することができたのだが、あまりの肉の旨さに肉談義が盛り上がりまくったのは言うまでもない。
今回の田村牛は個体識別番号1409704025、月齢34ヶ月、雌