No Meat, No Life.

横浜の魚屋の長男として生まれたが、家業を継がずに肉を焼く日々。

2016年11月17日 銀座 やまがた屋


通算4度目の“やまがた屋”。
素材1つ1つの中で1番旨い部分だけしか使わず、経験と考え尽くされた結論から生み出された完璧な焼き方で仕上げられる。
特に今回は、今まで最も神がかった火入れで、どの部位も震えるほど旨みが引き出されている。
今まで自分で焼いて食べてきたものとは別の食べ物であった。
とにかく圧巻の一言。
レバとヒレ
“やまがた屋”で唯一自分で焼くことが出来るメニュー。
大きな塊から血管や筋のない部分だけを切り出したレバは甘みの宝庫。
ヒレは目の前の1本の塊からフィレミニヨンを切り出し、醤油漬けに。










タン
大きさによるが、1本の黒タンから取ることが出来るのは3〜4人分のみ。
サシのの入った根元を切り出し、周りの赤い部分は躊躇なく削ぎ落とす。
芯の部分だけになったら、それを上側と下側で引き分け、食感の違いを楽しませてくれる。
しかも完璧すぎる火入れで。
私の知る限り、最も贅沢にタンを楽しませてくれるのが”やまがた屋”だ。









ハツ
ハツも塊から使われるのは数枚のみ。
口溶けの良いハツの脂部分だけを先に火入れを行い、脂が透明になった辺りで身の方にも火を入れる。
脂はしっかりと火が通っているが、身は綺麗なレア。
それぞれ違った旨さの2つが驚くほど旨みを引き出されている。



ミノ
大きなミノの中から厚みある部分だけを切り出し、そこに細かく等間隔に包丁を入れていく。
包丁を入れることで食感はより際立ち、噛む度にザクザクと心地良さが押し寄せる。





キモグレンス
関東では膵臓と呼ぶのが一般的。
脂が落ちるが、炎で焦げないように見事な技術で火を入れる山形さん。
臭みがなくすっきりと甘みだけが舌に届く極上の部位。



ミミカブ
耳の付け根の筋肉で、東京ではあまり見かけないような気がする。
しかし、侮るなかれ。
肉々しい旨みが凝縮した部位で、テールを柔らかくコクを強くした感じ。



ハラミ
ハラミも他の部位と同じように、1本の中で最も分厚い部分だけが使われる。
細かなサシがしっかりと入ったハラミはかなりの極上品。
片面焼きで仕上げ、焼いてない方を外巻にして食べるのが”やまがた屋”流。
舌に押し付けられた面は肉汁が浮き出ていて滑らか。
官能的な食感と旨みが味わえる。





テール
ガッツリと火が入ったテールは、手掴みで一気にかぶりつくのが正解。


シャトーブリアン
これでもか!と分厚き切られたシャトーブリアンは、ほんの少し網に乗せてはアルミホイルに包んで余熱を中心に伝える、という工程を何度も何度も繰り返す。
強火に当てずに、じっくりと火を入れ、肉繊維に一切のストレスを与えない。
この焼き方が極上の繊細さを食感に詰め込んでくれる。






タレハラミ
一通りコースを食べた後にアラカルトでお願いしたのはハラミ。
“やまがた屋”では塩が基本だが、今回はタレ。
タレ焼きで山形さんの火入れが活かされるのか興味があったが、網と炭の間にアルミ箔を敷き、タレが焦げないようにするという技を披露してくれた。
もちろん最後は直火で香ばしさも忘れない。
考えつくされた技術に唸ることしかできない。






コプチャン
山形さんが最も焼きに自信があるというコプチャン
火が入るにつれて、長いコプチャンがどんどん短くなり、皮はクリスピー状に仕上がる。
カリッとした皮面に、ふんわりと甘みが乗った脂面。







他のお店では決して食べることの出来ない一品。
支払額は決して安くはないが、使われている素材や技術を考えれば決して高くは感じない。
究極を追い求めるとこういったお店に行き着くという典型なのかもしれない。
一切の妥協を排除した肉料理がここにある。