No Meat, No Life.

横浜の魚屋の長男として生まれたが、家業を継がずに肉を焼く日々。

2016年12月1日 スタミナ苑

焼肉好きでなくとも”スタミナ苑”の名前を知っている人は多いだろう。
総理大臣も予約が取れずに並ぶしかない、といった逸話もあり、恐らく日本一有名な焼肉屋だ。
そんな”スタミナ苑”には常連さんしか頼めないコースが存在するのだが、そのコースも常連度合いでレベルが変わってくるという話を聞いた。
過去に何度も常連コースのご相伴にあずかっているが、今回は常連の中の常連と言われる方に連れて行ってもらうという幸運に巡り合えた。
肉以外




牛もつ煮込み
水を一切加えず、ホルモンから出てくる水分だけで仕上げる煮込みは濃厚で滋味深い味わいが広がる。
これだけクセのない煮込みを作り上げるのに、どれだけの労力をかけているのか想像がつかない。
塩煮込みと味噌煮込み


肉以外

コブクロ刺し
鮮度が抜群のコブクロは恐ろしいほど臭みもなく、サクッサクの最高の食感。
味付けの塩梅まで素晴らしい。

牛筋大根
柔らかな牛筋は言わずもがな旨い。
が、真の主役は牛筋の旨みを吸いまくった大根。
この大根をハフハフと口に運べば、その旨さに打ち震える。

ミノ湯引き
湯引きされることで新鮮なミノに適度な食感が生まれバランスが格段に向上する。

テール
蒸しか煮込みで柔らかくしたテールを焼いて香ばしさを加えている。
お箸でぷるっと骨から剥がれる柔らかさだが、口の中ではほのかに抵抗をしてくれる絶妙な塩梅。

前菜盛り合わせ
センマイ刺し、ミノ刺し、アキレス腱の煮込み、ガツ刺し、炙りハツが美しく盛られていて、常連コースの特別感をこの上なく演出してくれている。
もちろん、見た目以上に味は素晴らしく、特にガツやミノの食感は何回でもお代わりしたくなるほど。






タンとハラミの盛り合わせ
ぷりぷりのとサクサクが共存した上タン。
筋の甘みが印象深いタン筋。
口の中でほどけるように消えていく上ハラミ。
どれも厳選された、という言葉がピッタリ。




ホルモン盛り合わせ
通常メニューのミックスホルモンと違って、常連さんコースのホルモンはそれぞれが美しく盛り付けられているだけでなく、特に良い部分だけが集められている。
センマイ、コリコリ、ノドブエ、ハツ、シマチョウ、ミノ、ギアラ、コブクロの根本、テッポー、シビレといった部位が、食感や味わいの違いを見せつけてくる。










肉以外

正肉盛り合わせ
硬めの肉質のマクラは隠し包丁な細かく入っていて、適度な柔らかさがあり食べやすい。
脂が強いザブトンだが、タレがそれをうまく調和してくれている。
ミスジは世の中の主流より厚めで、より肉の味が感じやすくなっている。
柔らかさで突き抜けているのはやはりヒレ






チャーハン
常連さんだけが食べられる裏メニュー。
パラパラのチャーハンではなく、どちらかというとペッタリ系なのだが、これが驚くほど旨い。

テグタン

レバ
3頭分のレバの食べ比べ。
お皿を逆さにしても落ちないのは鮮度の良さの証らしく、全員が盛り上がる。
そして1頭1頭違うレバの甘みや食感に舌鼓を打つ。


肉以外

“スタミナ苑”でフルに食べて感じるのは、ひたすら鮮度や状態には拘り抜いているが、ここでしか仕入れられないような何か特別な物を仕入れているわけではない。
日本一有名な焼肉屋は、とにかく肉に対して真摯に向き合い、手間暇を惜しまず、身を粉にして焼肉を作り上げている。
もしかしたら誰でも出来ることなのかもしれない。
しかし、誰も出来なかった。
“スタミナ苑”しか出来なかった。
“スタミナ苑”の伝説は今も続いている。