No Meat, No Life.

横浜の魚屋の長男として生まれたが、家業を継がずに肉を焼く日々。

2017年3月10日 金竜山

粉雪が舞ったかのような霜降りのお肉。
特にカルビは並から中、上、特上といった具合にどんどんと霜降り具合が増していく。
これらがかつて”金竜山”を雪山に例えた所以だ。
初めてその雪山に登ったのは10年以上前。
当時から予約は取りにくかったが、それでも月に1度は必ず登ることが出来ていた。
ここ最近は神格化されつつあるため、以前にも増して拍車がかかった予約の困難さ。
今回は2年ぶりに、パウダースノーに包まれた山の登頂に挑んだ。
上タン塩
ここが山の入り口。
舌を食べてから険しい山に挑む。
“金竜山”独特のこのタンのカット。
繊維に対して縦ではなく横に近い向きに包丁を入れ、薄切りの大判を実現している。
薄切りゆえのカリッとした仕上がり、大判だからこその口の中でのボーリューム感、これが合わさり非常に高い満足度が生れる。


上ハラミ
本格的な登頂を前にハラミで小休止。
肉の味が濃く、タレにも負けていない。

並カルビ
並カルビは日によってバラつきがある。
1つのお皿の中にも切り落としのようにバラつきがあるのだが、オススメするのは脂が多いもの。
細かなサシに拘らず、とにかく脂が多いもの。
“金竜山”制覇は鍵がここにあるのだが、とにかく脂とタレのマッチングが最強なのだ。
肉に味がなくても、このタレと脂で白米がすすんで仕方ない。


中カルビ
中カルビがは並カルビに比べサシも細かくなっていく。
“金竜山”では薄切りのザブトンが中カルビ。
タレにたっぷりと潜らせ、白米の上でバウンドさせてから頬張る。
極薄カットでザブトンは溶け、肉汁とタレのマッチングはここに極まる。
正直、肉の味を意識するとそれがほとんどないことが分かるのだが、何も考えずに頬張れば、そのマッチングにただただ笑みがもれる。
タレの旨みとニンニクが完璧すぎる。


上カルビ
更に雪景色は濃くなってくる。
巻きの部部だろうか。
こちらも肉の味は弱いのだが、溶け具合とタレで非常に旨い。


特上カルビ
立派なサシのサーロイン。
ここまで霜降りが続いても食べやすいタレには驚かざるをえない。



特上ロース
“金竜山”という雪山の山頂はこの特上ロース。
細かなサシがびっしりと入ったサーロインかリブロースの頭。
食感もタレとのマッチングも言うことなしで、これぞ焼肉の1つの答えという気がする。


ヒレ
2年前は存在しなかったヒレが帰り道のデザート。


レバ
トロリとしていて甘みあり。

かつてはドハマリした正肉も、牛肉に対する経験値を相当積んだ現在となっては少し味が弱く感じ、脂の質もそこまで上質ではない。
しかし、魔法のタレに潜らせると、肉がタレの旨みをまとい、脂の重さも感じさせなくなる。
そしてご飯との相性も最強すぎる。
これこそが焼肉屋としての技術なのだ。
白金の住宅街の中にぽつんとある隠れ家的雰囲気、ノスタルジーを感じさせる店内、そしておばちゃんの存在。
これら全ての要素が”金竜山”という存在をより際立たせ、訪れる肉好きを虜にしていく。
いつまでも存在し続けて欲しいレジェンドだ。