No Meat, No Life.

横浜の魚屋の長男として生まれたが、家業を継がずに肉を焼く日々。

2017年6月2日 焼肉 名門

焼肉業界もインターネットによって情報が溢れるようになった。
どのお店も自分達の拘りや伝えたいことを必死に発信してくれる。
それを受取る側は、取捨選択する能力があれば有用だが、無ければ情報に躍らせれてしまう。
だが、そんな時代の流れを一切気にすることなく、黙って本物だけを提供してくれるお店もある。
いや、全く黙ってはいないのだが。
四谷の”名門”店主・中村さん、通称ヤッキー。
2時間超、焼きながら一時も止まることのないしゃべりと歌。
我々をそれを聞いて笑う事しか出来ない。
とにかくその接客だけがスポットライトを浴びるヤッキーだが、実はとんでもない研究と努力、そして拘りが詰まっているのだ。
焼肉に不可欠なニンニク一つ見ても、国産の最高級品を使っている。
目に見える箇所ばかりに一生懸命になるお店が多い中、一見目立たないところに心血を注いで拘り抜いている。
一流の料理人のファンが多いのも頷ける。
そして、そんな拘りをヤッキーは一切しゃべらない。
ただひたすら歌を歌い、「よろちくびー」と笑顔で我々を出迎えてくれる。
前菜

テール蒸し
ほろほろと崩れる柔らかさ、そして上品な味わいは黒毛和牛のテールの中でも上物であるのが分かる。

センマイ刺し
センマイの中でも根元の分厚い部分だけを使った極上品。
“名門”以外でここまで立派なセンマイ刺しに出会ったことはない。


鶏モモチム
牛肉じゃないのだが、箸が進んで仕方ない。

ミノ
深い切り込みの入った大人のミノ。
子供は食べちゃいけません。


シマチョウ
腸壁である皮に臭みが全くなく、くにゅくにゅと口の中で踊り、噛み締めれば何とも心地良い歯切れ。

ギアラ
普段焼肉屋で見かけるギアラと同じものとは到底思えない分厚く立派な”名門”のギアラ。
ぐっと奥歯を押し返す力強さがあるが、更に力を込めればザクッと歯が入る。
幾重にも旨みが重なったような味わいも素晴らしい。


タン元
分厚いタン元は醤油の香ばしさでタンにたっぷりと入ったサシのインパクトを和らげ、甘みを引き出してくれる。


ガリ
ガリを塊のまま焼き始めたのはヤッキーが最初じゃないだろうか。
しっかりと火を入れてから目の前で切り分けてくれる。
そしてクライマックスはワサビを塗りながらの「ワサビの歌」熱唱。
ヤッキー曰く、「ワサビの歌」が歌いたい!とのこと。



ハラミ
分厚いです。
“虎の穴”を意識した分厚さ(笑)
自分の中の本能を刺激するような野性味に溢れ、噛むほどに口の中を旨みのジュースが支配する。


ロース
完全に真っ赤な並ロース。
これをさっと火を入れるヤッキー。
タレと卵黄で味付けされた並のロースが驚くほど旨い。
完全に焼肉を理解したヤッキーにかかると、ここまで違うのか!?



芯ロース
経産牛のロース芯。
経産牛だが、嫌な硬さはなく、むしろ柔らかい。

三角バラ
芸術的なサシが入った三角バラだが、ヤッキーは大根おろしと一緒にさっぱりと食べさせてくれる。

スーパーホルモン
カットしていない長いコプチャン
八丁味噌ベースの濃厚な味噌ダレとの相性が抜群に良い。




そぼろご飯
〆はそぼろご飯。

終始笑いっぱなしで、こちらが会話する余裕すら与えてくれないヤッキー。
しかしそれが異常に心地良い。
楽しさだけでなく、旨さも都内トップクラス。
ヤッキーの絶倫コースを食べれることに感謝せねばなるまい。