No Meat, No Life.

横浜の魚屋の長男として生まれたが、家業を継がずに肉を焼く日々。

2013年3月26日 北新地 福多亭


兵庫の加古川にある"かつじい"で満腹まで食べた後に向かったのは大阪の北新地にある"福多亭"。
まだオープン間もない窯焼きステーキのお店だが、料理長の福田さんは元フレンチのシェフで、この"福多亭"オープン前は"あら皮"や"かわむら"等のステーキの名店を回って勉強したそうだ。
時間が遅いこともあり、カウンターに1人で陣取った私の前に置かれた肉塊には言葉を失った。


ロースにイチボ、そしてヒレ等、どれも魅惑的で何を食べるか迷ってしまうが、選んだの石垣島で肥育された純但馬血統のシャトーブリアン
某問屋さんが最近手掛けていると聞いていたが、石垣島で純但馬の血統を肥育とは不思議な感じがしていて、いつか食べてみたいと思っていたのだ。
ステーキで重要なのは重さではなく厚さなので、炉釜の特性を考慮した厚さでシャトーブリアンをカットしてもらう。
カットされたシャトーブリアンは金串を刺され塩を身にまとい、そして炉釜へ投入される。

備長炭から発せられる高熱で焼かれ、時に炉釜から出して休ませる。
この工程を2度、3度と繰り返し、あのシャトーブリアンは焼き上がった。
中まで火が入ったシャトーブリアンは丸みを帯びていて、内部に満ちている肉汁に思いを馳せる。

中を割ってみると見事なロゼ色で、艶やかな官能的な壁面をしている。
この塊を惜しげもなく口に運ぶと、表面の薄いパリッとした焼き上がり、そして内部の瑞々しい火入れに驚く。
唯一残念なのが、表面とピンクの内部の間の茶色の部分のパサツキ感が口に残ること。
この部分を更に減らす、もしくはここすらジューシーに肉汁を回す火入れを実現できれば、それこそステーキの理想に近づけるのではないだろうか。
石垣島の純但馬の味わいだが、風味の強さがあり、芳醇な香りが鼻を抜ける。
繊細な食感の肉繊維からこぼれ落ちてくる旨みも力強さがある。

今回はコースやお任せではなく、ステーキのみでったが、料理長がフレンチ出身ということもあり、どういった牛肉料理を食べさせてくれるのかにも興味がある。
再び大阪の地を訪れる日には、この"福多亭"への再訪も必要であろう。