No Meat, No Life.

横浜の魚屋の長男として生まれたが、家業を継がずに肉を焼く日々。

2009年3月18日 焼肉酒家 傳々

前回の訪問では高矢店長に『ミスジがいまいち』という話をし、帰り際に『次回訪問時は店長のお任せでお願いします』という約束をしてお店をでたのだが、遂にその"次回"の時が来た。
予算を伝えてお任せをお願いしたが、前回のミスジの件もあるので、高矢店長もかなり気合が入っているようだ。
キムチ、ナムル、サラダを食べながらお肉を待つ。
こういったサイドメニューが美味しいのは、なかなか嬉しいものだ。
最初に登場したのは刺身の盛合せで、中身はレバ刺し、ハツ刺し、ミノ刺し、牛刺し、タンユッケ。

レバ刺しは最初から下味がついているタイプ。
それほど甘みを感じることもなく、まあまあといった印象。

個人的に大好きなハツ刺しは、しっかりとした旨みがあって大満足。
鮮度の良さが伝わってくる。

ミノ刺しもハツ刺し同様新鮮で旨みがある。
やはり傳々のホルモン系は総じてレベルが高い。

牛刺しは先日うかい亭で食べた牛刺しには及ばないが、甘みもあって旨い。

そしてタンユッケ。
前回のタンユッケは若干タン自体の甘みが足りないと感じたが、今回は素晴らしい。
タレに負けない黒タンの甘みが詰まっていて、昔傳々で提供されていたものを彷彿させる。
あまりの旨さにご飯が食べたくなってしまった。

すでに刺身系で今回の高矢店長の気合と、傳々の本当の実力に一同ざわめきを隠せない。
高矢店長が全てのお肉を焼いてくれるお任せコースの焼きはタン元から始まった。
前回の限定厚切りタンとは、まず見た目から全然違う。
これを強火で一気に焼いていくのだ。
そして焼き上がったタン元は甘み、コクが非常に強い。
炭火の強火で焼いているので、香ばしさも加わっている。
刺身を食べて感じた傳々(高矢店長のお任せ)のレベルの高さは本物であった。
これは本当にすごい。
続くハラミも見た目から旨そうだ。
これまた今までの究極ハラミとは全然違う。
片面焼きで焼かれた面を外側にして食べたが、肉繊維の柔らかさとジューシーな旨みはすごい。
このレベルのハラミはそうそう出会えないだろう。

次はなんとシャトーブリアン
このシャトーブリアンも当然の如く強火で焼いていくのだ。
高矢店長の焼きの技術は見ていて勉強になる。
私の目は網の上のお肉と高矢店長に操られたトングに釘付けだ。
このシャトーブリアンの旨さは筆舌に尽くしがたい。
本当に柔らかな赤身の肉繊維から感じる甘み。
正直な私の感想としては、もう少し弱火でじっくりと焼き上げた方がシャトーブリアンの旨みを感じやすいのではないかと感じた。
ただし、念のために言っておくと、私はこのクラスのシャトーブリアン焼肉屋さんでは"よろにく"以外では出会った事がない。
その位素晴らしいシャトーブリアンだし、驚愕の旨さであった。
薄切りのサーロインの旨さも特筆すべきものがある。
おろしポン酢でさっぱりと食べるのだが、ポン酢に負けない脂の甘みと赤身のしっかりとしたコクのある旨さが印象的。

上ミノはネギムンチと一緒に食べる。
ミノ刺しでもあれほど旨かったのだが、絶妙な焼きで仕上げられた上ミノはサクサクとした食感でいくらでも食べれてしまう。
私が大好きなホルモンはおろしポン酢で。
傳々のホルモン独特の食感、やはり旨い。
簡単に噛み切れるのは勿論だが、脂の甘みとトロトロ具合が何とも言えない。
私はこのホルモンを食べる為だけに傳々を訪問できる。
その位傳々のホルモンが好きなのだ。

ホルモンまで食べて(予算的にも考えても)終わりかと思ったのだが、実はここから折り返しだったのだ。
続いてタレのお肉が登場する。
まずはミスジ
前回いまいちだったミスジだが、今回は十分納得のいく旨さ。
甘みがしっかりとしている。

次はリブマキ。
普通のお店のマキはリブ芯を囲んでいるマキを半分にしているが、傳々のマキはそのまま一本でかなりボリュームがある。
このマキの甘さは感動的、しかも炭火の強火で焼いているので、香ばしさもプラスされている。

続いてトモサンカク。
久しぶりに旨いトモサンカクに出会ったと思う。
赤身の旨みが強いのだが、サシも十分入っていて、柔らかさも申し分ない。

更に極上Meatは続いて、サガリが登場。
普通はハラミに比べてサシが少なめなサガリだが、今回はハラミのような細かさはないが、十分なサシが入っている。
このサガリはジューシーな旨みが詰まっていて旨い。
もう少しだけ焼いた方が良かったのではないかとの印象もあるが、旨みには文句のつけようがない。
焼き最後は腕部分を使用したロース。
しっかりとしたコクのある赤身で旨い。
これまで霜降り系が続いていたが、最後にこのロースというのがニクイ。
非常に旨かったので、もう一枚食べたかったほど。

〆には傳々カレーと冷麺の両方が出てきたが、どちらも旨い。
キムチやナムルでも感じたが、こういったサイドメニューがちゃんと旨いというのは非常に魅力的である。
普通はここで終わりだと思うが、何故かこの日は終わらなかった。
この後運ばれてきたのは、デザートのフルーツ盛合せとコーヒー。
今まで焼肉屋さんで味わったことのない待遇にちょっとビックリした。
ここで心配になったのはお会計である。
最初に予算を伝えていたが、今までの傳々での経験から推定すると、伝えた予算の倍以上はするのではないか?という不安が(笑)
だが、手渡された伝票が衝撃的で、『これは一人の値段ですか?(今回は5人で訪問)』と聞いてしまったほど。
焼き生活も長くなってきたが、過去最大の衝撃であることは間違いない。
これは我々が話した今までの傳々で感じたことを高矢店長がしっかりと受け止めてくれたということだ。
勿論こんな事は最初で最後であるが。
今回の衝撃について言える事は、高矢店長の焼肉対する情熱が本物であること。
そして、メディアの露出が増えても驕ることなくことなく、改善点があれば素直に認められるられること。
傳々は賛否両論あるお店だというのは分かっている。
私も色々な思いを持っていたが、今回本当の傳々の実力を知り、改めて評価することになった。
傳々は"よろにく"、"くにもと"、"スタミナ苑"、"金竜山"、"ジャンボ"と同じ黒帯に認定できるだろう。
それにしても傳々の本気のMeatは素晴らしい。
この本気のMeatを知ってる人はいったい何人いるのだろうか!?
今回傳々の本当の実力を知る機会を得た幸運、そして自分の肉への飽くなき思いがお店に伝わった事に感謝したい。