No Meat, No Life.

横浜の魚屋の長男として生まれたが、家業を継がずに肉を焼く日々。

2009年4月9日 よろにく

私は周りから、異常なほど肉好きに見えるらしい。
それ故、『焼肉屋さんにはならないの?』とたまに言われる。
答えはいつも『ならない。』いや『なれない。』だ。
それは何故か。
自分がとことん拘って準備したMeatが焦がされる様な場面に出くわしたら悲しみ・怒りがこみ上げてくるではないか。
私が全てのMeatを焼くにも無理があるし、それではキャパが相当限られてしまう。
結局、一番好きな事は仕事にせずに、一番好きな事にお金を使えるように他の仕事で頑張るのが、今の私にはあっているという事だ。
そんな事をここ数年間思っていたのだが、『従業員として働いてみたいなぁ〜』と思ってしまうほど魅力的なのが"よろにく"である。
それほど旨いし、毎回驚かされるコース内容なのだ。
そんな魅力に取り付かれて、この日も"よろにく"へ。
刺身系盛合せは内モモ、タテバラの握り、センマイ刺し。
今回のタテバラは普段よりはサシが若干少なめだが、それでもタテバラ特有の甘い脂は素晴らしい。
そしてこの甘さと酢飯との組み合わせは、いつもながら頬が緩む。

今回最大のサプライズは、VANNEさんに『ユッケです。』と言って出されたイチボだろう。
普段のぶつ切りユッケではなく、大判で薄切りのお肉ではないか。
これがまた旨いのなんのって。
イチボはお肉自体の味がしっかりとしていて、タレもこれまた旨い。
初めて食べたが、あまりの旨さに、『最後にお代わりできないのかなぁ』と焼き仲間で相談したほど。

焼き一皿目はシャトーブリアン
厚切りのシャトーブリアンは、いつもの様に両面焼きと片面焼きで楽しむ。
やはりシャトーブリアンは弱火で火を入れていくのが一番だと感じる。
しっとりした赤身の甘みと、弱火で火を通すことによって表面まで肉繊維の柔らかさが残っている。

焼き二皿目は塩系でタン元、ハラミ、サガリ、ハツ。
トングでひっくり返そうとした時にプルプルとし、焼き上がってくると肉汁がパンパンに詰まった感じのタン元は、焼肉好きの心を鷲掴みにしてしまう。

かなり良い状態で入荷したというハラミは、ハラミ特有の野性味は若干薄いものの、ジューシーで肉繊維には繊細さすら感じる。
こんなハラミはなかなかお目にかかれない。

ガリは、ハラミよりしっかりした肉繊維だが、溢れる旨みは負けていない。
こちらも間違いのない旨さ。

焼き三皿目はタレでカタサンカクとランプ。
コクを感じるカタサンカクで口の中が旨みでいっぱいになる。
こういった赤身の旨さも"よろにく"の魅力だろう。

ランプも勿論旨かったが、先日"くにもと"で食べたランプには僅かに及ばないか。

焼き4皿目は塩系でカイノミ、アカミスジ、中落ち。
いつものことながら、カイノミ、中落ちのジューシーさが塩でより旨く感じる。


アカミスジはさっぱりとしていて、赤身の甘みが心地よい。
なんとも上品な一切れである。

焼き5皿目はタレ系でアカミスジとザブトン。
塩で食べたばかりのアカミスジだが、タレだと一味違う。
タレの甘みと相まって、ご飯が欲しくなってしまう。

まだまだ脂好きな私を魅了するのはザブトン。
最近は赤身の旨さに開眼しつつも、やはりあの脂の甘みには逆らえない。
やはり旨いものは旨いのだ。

焼き6皿目はサーロインで、厚切りと薄切り。
最初に切り出す前のブロックを見せてもらってテンションがグッと上がった。
細切り野菜と一緒におろしポン酢で食べる厚切りは、しつこさなど全くなく甘みを十分に楽しむ事ができる。
先日のスタミナ苑でも感じたが、こういった厚切りのサーロインを軽く炙っただけで美味しく食べれるのは、お肉の質は勿論、お肉の温度等、お店の心配りがあってこそだろう。
薄切りのサーロインはタレをたっぷりつけて、ご飯を包んで食べる。
これも相変わらずの旨さ。
屁理屈など必要なく、旨さに大満足。


最後は卵かけご飯、素麺、アイスまでいただいて終了となった。
今回はミスジや巻きを食べれなかったのが残念だったが、何と言ってもイチボのユッケの旨さでそんな思いも消してくれる。
そして、最近はあまり満腹感を感じにくいこの胃袋が恐ろしい。