No Meat, No Life.

横浜の魚屋の長男として生まれたが、家業を継がずに肉を焼く日々。

2010年3月23日 よろにく

田園都市線高津駅に私の中学時代の同級生がオーナーの美容院があり、千葉に引っ越した今でも毎月通っているのだが、その店名は『守破離』という。
(ちなみにこの美容院にはユッケちゃんという子がいる。。。)
守破離』とは、守=決められた通りの動き、つまり形を忠実に守り、破=守で学んだ基本に自分なりの応用を加え、離=形に囚われない自由な境地に至る、というものである。
焼肉界でこの『守破離』という言葉から連想されるお店が”よろにく”だろう。
単品でオーダーすれば肉質、カット、味付けといった基本のレベルの高さ、メニューにあるコースでオーダーすれば、前菜からデザートまで考え尽くされた流れによる完成度の高い応用、おまかせコースでオーダーすれば、既存の枠組に囚われない究極の焼肉の境地を味わう事ができる。
今回もおまかせコースで至高の焼肉を堪能する。
まずは、いきなりシャトーブリアン
他の焼肉屋さんではほとんど食べることのできないA5雌のシャトーブリアンが常備されている”よろにく”だが、今回のシャトーブリアンは特に素晴らしい。
脂ではなく赤身の肉繊維がもたらす旨みはジューシーで、他の部位では決して味わうことのできない独特の澄んだ旨さが感じられる。

イチボの握りは、イチボを刺身で食べるよりも旨く感じるような、シャリとのバランスの良さがある。

ユッケの軍艦巻きは、柔らかいだけのお肉ではなく、適度な噛み応えと濃厚な旨みが共存している。

タンユッケは塩とタレの食べ比べ。
タン自体は非常に旨いのだが、生のタンは脂が感じにくいので、塩ダレで塩がちょっと強いとバランスが悪く感じてしまう。

甘みのあるタレの方はバランスが良く、タンの旨みも感じやすい。
タンユッケを食べるなら、”よろにく”、傳々”、”きらく亭”が御三家といったところだろう。

焼き物のタン盛合せは、タン先、タン下、タン中、タン元。
タン先は若干厚切りで隠し包丁が入っているが、隠し包丁が必要なさそうな柔らかな噛み応えで濃厚な旨みがある。

冷凍してスライスするお店が多いタン下も、”よろにく”では勿論生の状態。
強めに火を入れると脂の旨みが口に広がって旨い。

タン中はサクサクとした食感とジューシーな旨みが堪能できる。

タン元はもはや死角なしのパーフェクトな旨さ。
タン好きでれば必食である。

1枚で網の半分を占領してしまう大判のハラミは塩とタレの食べ比べ。
肉繊維を噛み切る毎にふんだんに溢れる肉汁の旨さは素晴らしく、塩では濃厚な旨みを、タレでは香ばしさと焼肉らしいバランスの良さを味わえる。


厚切りのカイノミは、新しいタレで食べる。
サシは粗かったが、ジューシーでほど良い噛み応えだ。
甘みのあるタレでも辛みのあるタレでもなかなか旨い。


シャトーブリアンも新しいタレで食べてみる。
貧乏性の私としては、どうしても辛みのあるタレにはつけられなかったが・・・。
それにしても今回のシャトーブリアンは、本当に旨い。



定番のミスジの旨さはもはや別格。
他の焼肉屋さんでは到達できない境地に達している。

定番となりつつあるシルクロース(薄切りのサーロイン)も今回は特に上質。
口の中で蕩け具合、甘み、どれを取っても素晴らしいサーロインだ。

最後は肩芯を塩とタレで楽しむ。
若干筋が口に残るが、それも気にならない範囲だろう。
甘みは勿論、お肉自体の味がしっかりしていて旨い。


まさに最高峰の焼肉を堪能し、身も心も大満足であったが、残念なこともあった。
お世話になっていた厨房の吉田さんがお辞めになるとのこと。
非常に残念であるが、吉田さんの今後の活躍を祈るのみである。