No Meat, No Life.

横浜の魚屋の長男として生まれたが、家業を継がずに肉を焼く日々。

2013年6月 格之進R


東京の焼肉業界における熟成肉の雄と言えば真っ先に名前が上がるであろう"格之進"。
岩手の自社牧場で育てた門崎丑を東京で食べてもらうためのお店だ。
しかも社長の千葉さんが研究し続けている独自の熟成を加えて。
こういったそのお店だけの核が存在するようなお店は店主に身を委ねるのが一番だろう。

この日はヒレミミ、カタサンカク、アマミスジ、イチボ、ハバキの湯引きの食べ比べから宴、というか勉強会が始まる。
熟成させたお肉は熱の入れ方で香りの立ち方が全く違う。
しっかりしたコクがあって旨いお肉だが、湯引きだと熟成特有の表情が見えにくい。
生肉禁止が恨めしいところだ。

まずはジャブから、という感じで最初に焼いたのは一般的な焼肉カットでアマミスジヒレミミ、ササミ。
この後に続く主役にたどり着くまでの大事な工程として、一般的な焼肉屋さんでお馴染みにカットで食べることで、門崎丑とは何かということが分かるだろう。



そして格之進をここまで押し上げた、熟成肉の良さを最大限味わうための塊での祭りが始まる。
ハバキ、アマミスジ、イチボ、トモサンカク、シンシン、サーロインといった個性豊かな選手を焼き網と言う舞台に一気に乗せ、そして火を入れる。
所狭しと舞台の上で選手達が思い思いの姿を見せてくれる。

焼きあがった選手はそれぞれ熟成具合が違い、熟成香が強いものもいれば、熟成した感じが弱いものもいる。
それでも水分の含有率が絶妙で、パサパサ感を感じさせずに旨みの凝縮感を感じさせてくれ、芳醇な香りが鼻を抜ける。


目指している方向がはっきりと伝わるお店というのは、本当に楽しんで食事ができる。
こういった強い信念を持ったお店が焼肉業界にどんどん増えるといいのだが。