No Meat, No Life.

横浜の魚屋の長男として生まれたが、家業を継がずに肉を焼く日々。

2013年9月25日 しゃぶ与志


お店を探すアプローチは色々あるだろう。
最も一般的な方法はネットだろうが、やはり知人からの口コミというものは信頼性が高い。
だが知人からの口コミの問題は、当たり前のことだが自分より幅広くリサーチしている知人が必要なこと。。。
特に東京都内に限定してしまうと、これが非常に難しい。
そこで最近よく利用するのが、お肉屋さんや生産者から良いお肉を仕入れているお店を教えてもらうという手法。
今回は兵庫の川岸牧場の川岸さん絶賛の個体があり、しかもそれが東京のお肉屋さんに送ったという情報をキャッチした。
行き先を追って辿りついたのが新宿の区役所通りにある"しゃぶ与志"だ。
正直今まで張っていたアンテナに掠ったこともなければ、場所を考えるだけに期待値も下がってしまう。
だが川岸さんの言葉を信じて行くしかないのだ。

新宿の喧騒な通りを歩き辿りついた店内は、場所柄をよく表していて同伴と思われる2人組のお客さんばかり。
というか私以外は全員同伴のようだ。
気を取り直して店員さん川岸さんのお肉を話を聞いたところでアクシデント発生。
なんと川岸さんのお肉の前に使っている松阪牛がまだ残っているため、この日は松阪牛しか準備してないとのこと。。。
これにはただただ落ち込むしかなかったのだが、私の顔があまりに哀れだったのだろうか。
店員さんが厨房の職人さんに相談に行ってくれ、我々の分だけ川岸さんのお肉を準備してくれたのだ。
これには本当に感謝するしかない。
しばし待って運ばれてきたお肉は霜降りと呼ぶに相応しいサシが入っている。
ところが、しゃぶしゃぶして口に運ぶとさらっとした脂の甘みと長期肥育の但馬牛らしい赤身の旨みが広がり、恐ろしく上品な味わいに驚かされる。
またしゃぶしゃぶにしては若干軽すぎる印象を受けたのは事実なのだが、厨房の職人さんの話を聞くと、普段出している厚さよりも薄くなってしまったようだ。
これはショックだが、急に準備してもらってのだから仕方ないところだろう。
それにしても、これがもう少し厚みがあったらどんな衝撃を与えてくれたのだろうか。

嬉しいことに"しゃぶ与志"はクーポンが準備されていて、この日のクーポンは松阪牛1人前。
松阪牛と文字は色々なところで見かけるが、東京で本当に旨い松阪牛にはそうそう出会えるものではない。
ところが、この新宿の区役所通りに本当に旨い松阪牛があったのだ。
鼻に抜ける和牛特有の香りとコク。
肉肌の肌理の細かさも素晴らしい。

川岸さんの神戸牛を仕入れていること自体驚きだが、それ以外の松阪牛も本当に最上級の品質。
こんなお肉を常時揃えているお店があるなんて驚く他ない。
しかも同伴のお客さんが主流の新宿でだ。
これはまさに卸しているお肉屋さんの実力とも言えるだろう。
要チェックのお店とお肉屋さんがまた増えた。