No Meat, No Life.

横浜の魚屋の長男として生まれたが、家業を継がずに肉を焼く日々。

2014年6月25日 但馬屋 虎ノ門ヒルズ店


大阪で熟成肉を武器に勢力を拡大している"但馬屋"。
基本的に焼肉業態が主体のようだが、鉄板焼きや肉懐石の業態もあるようだ。
遂に満を持して東京に進出して来たのが最近オープンしたばかりの虎ノ門ヒルズで、焼肉ではなくステーキ。
入り口には大きな熟成庫があり、立派なロースが5本吊るされていた。

また入り口からは分厚いステーキを焼いているシェフの姿がよく見える。
ただ建物の安全管理上の問題で熱源に炭が使えず、鉄板と電熱のグリラーを使わざるをえないようだ。
スタッフの接客は丁寧でお肉の事を聞いても分かりやすく説明してくれ、お目当てだったTボーンステーキを待つ間にミノのエスカルゴ風も頼む。
ミノのエスカルゴ風
厚みのあるミノにはしっかりと切込みが入れられ、食欲をそそるオリーブオイルとガーリックで味付けがしてある。
歯切れはあまり良くなく普通かな。
満足度 2


Tボーンステーキ 黒毛和牛(熟成プレミア黒毛和牛)
ドライエイジングされたTボーンを焼く前に見せてもらうと思った以上にサシが入っている。
焼き加減は何も伝えないと自然にBlack&Blueで提供されるとのこと。
日本ではあまり馴染みのないBlack&Blueだが、ドライエイジングの本場NYで人気のある焼き加減で、強火で表面を黒く焦げるほど焼き中はベリーレアに仕上げる焼き方。
そしてメニュー表の写真は紛れもないBlack&Blueなのだが、実際運ばれてきたTボーンの表面はBlackでもなく、そして中もBlueではない。
これは冒頭でも書いたが、炭を使えない状況では仕方ないことかもしれない。
ただ、Black&Blueという説明はかなり誤解を生むので少し控えた方が良い気がするが・・・。
肝心の味だが、まずはヒレの方から。
ねっとりとしていてヒレらしい柔らかさがあるのだが、肉の味は弱く、お皿が運ばれてきた時に感じた熟成香は不思議とあまり感じられない。
ただしヒレの端っこの脂を食べてみると強烈な熟成香が放たれていた。
サーロインも肉の味は弱く、脂のインパクトが強くて若干重い。
またその脂の熟成香がかなり強く、ワインを飲まない私には強すぎるくらいであった。
旨いことは旨いのだが、私の個人的な好みとは微妙に違った方向性かな。
満足度 3




昨今の熟成肉ブームで、残念ながら熟成ではなく腐敗かと思うようなお肉は巷に溢れているのが現状だが、この"但馬屋"はしっかりと熟成に向き合っているのが分かる熟成肉が食べられる。
熟成肉好きの方はもちろん熟成肉に興味のある方は、こういった真摯なお店で本物の熟成肉に触れてその奥深さを味わって欲しい。
私もワインが飲めればまた違った印象を受けるのであろう。