No Meat, No Life.

横浜の魚屋の長男として生まれたが、家業を継がずに肉を焼く日々。

2014年6月23日 ゆうじ

「焼き」の技術を磨いてますか?
焼肉は料理の最終工程を我々焼き手に任された稀有なジャンル。
どんなに素晴らしいお肉を最高のお店で出してもらったとしても、焼き手によりその味わいは如何様にも変化する。
私を含めた世の焼肉好きは肝に命じなくてはいけないのだ。
お店、生産者、そして牛が喜んでくれるような「焼き」を身に付けるべきだと。
焼き初級者によく見られるのが、焼き過ぎで焦がすこと。
生焼けを避けたり、火の入り具合への不安によるものだろう。
そして焼き中級者になってくると、あまり火をいれずにとにかくレアに仕上げがちになること。
これは上質な肉ほどあまり火を入れない方が良い、という昔からの慣習が影響しているのではないだろうか。
そこから抜けた焼き上級者は、火を入れることで素材のポテンシャルが花開くことを理解し、部位やカット、味付けまで考慮した火入れを実現するのではないだろうか。
そして世の中には「焼き」を極めた焼き達人が何人か存在する。
私がリスペクトしている焼き達人の1人が"虎の穴"の辛さん(弟)。
特にホルモンに関しては、辛さんの右に出る焼き手にはそうそうお目にかかれない。
素材の持つ食感を大事にした火入れで、普通の焼き手では焦げを恐れて踏み込めないその一歩先に踏み込むのだ。
それを可能にしているのが、類稀なセンスと経験値。
この日は焼き達人である辛さんに"ゆうじ"でホルモンを焼いてもらうという貴重な勉強会を開催。
裕師さんと辛さんの奇跡のコラボに心と胃袋は小躍りしっぱなしだった。
モツ煮込み

ハラミ刺しとハツ刺し
甘みや食感を含めて完璧な料理。

ハラミの素揚げとホルモンチップス
ハラミが揚がり過ぎでボソボソとした食感になり、ハラミの良さが消えていた。
これは理想の揚がり具合でもう一度食べてみたい。


レバニラ
レバの甘みを調理することで、よりまろやかな甘みに。
レバ料理の究極形態。

名古屋コーチン

ホルモン盛り合わせ
甘辛の味付けは"ゆうじ"のお家芸かな。
他のお店では決して食べれない見事な味付け。
この一皿だけで感動できる。

タンしゃぶ
刺身で食べれる新鮮なタンを出汁でしゃぶしゃぶ。
〆のラーメンも秀逸。


裕師さんに申し訳なかったのはホルモンの仕入れが最も困難な月曜の訪問だったこと。
"虎の穴"の定休日である月曜の訪問なので仕方なかったのだが、いつものようなホルモン盛り合わせが少なめだったのは、もしかしたらそんな事情があるのかもしれない。
とはいえ、そんな曜日も全く感じさせないホルモンだったことはお伝えしておきたい。
それを可能にする料理人としての裕師さんの技術に感服し、それを更に昇華する辛さんの焼き技術にも脱帽するしかない。