No Meat, No Life.

横浜の魚屋の長男として生まれたが、家業を継がずに肉を焼く日々。

2015年7月13日 銀座 ひらやま


“ひらやま”の店主・平山さんは”かわむら”の河村さんの”ゆたか”時代の弟弟子で、約2年ほど一緒に働いていたという。
そのスタイルはやはり”ゆたか”の影響が強く、ヒレを贅沢に使った料理が多い。
つまり、平山さんが好む好まぬに関係なく、”ゆたか”というより”かわむら”と比較されがちなのではないだろうか。

私の勝手な想像だが、日本一のステーキという呼び声も高い”かわむら”と日々比較される事は、平山さんを刺激していたのではないだろうか。
その証拠に、2年半前の訪問時と比べて素材、火入れ、バリエーション、全てが格段に進化していた。
この日平山さんが準備してくれた肉だらけのコースは、肉好きであれば一度は経験すべきだろう。

フォアグラのテリーヌ
個人的に苦手なお酒っぽさが僅かに感じられるが、それでもねとりと甘く臭みのないテリーヌは非常に旨い。
満足度 4

炙り刺し
目の前に置かれたヒレを掃除し、炙ったフィレミニオンを3切れ。
肉の味が舌の上に乗っかり、じんわりと旨みを放つ。
満足度 5+

タルタルステーキ
テートにフィレミニオンを少し混ぜて食感や味わいを調整するのは”かわむら”と同じ。
一緒に混ぜられたケッパーや調味料に消されることなく、主役の牛肉が存在感をアピールする。
パンと一緒に食べるとより一層ヒレの食感が活きる。
満足度 5

牛肉のタタキ
フィレミニオンを使ったタタキで、最初に食べたフィレミニオンとは熱の入り方が違い、香りや旨みが驚くほど違う。
なにより肉の旨さが本当に素晴らしい。
満足度 5+

カルパッチョ
テートを目の前で叩いてカルパッチョに。
ヒレ特有のほどける様な肉繊維が詰まるのだが、柔らかさは依然として健在。
チーズの香りと相まって、フレッシュな旨みが感じられる。
満足度 4

冷しゃぶ
驚いた。
サーロインまで旨いとは。
“ゆたか”系列は”島”を除くとヒレがメインであり、サーロインはあまり期待してなかったのだが、肉の味が濃厚でそれを引き立てるサシの上品な甘みがある。
満足度 5

コンソメスープ
目の前に置かれた瞬間から立ち上る極上の香り。
肉の味がスープのそのまま移されたようなコンソメ
満足度 4

ステーキ
ど真ん中のシャトーブリアンが分厚くカットされ焼き台に。
平山さんの焼き方は、遠火でじっくりと入れるものだが、”かわむら”とはちょっと違う。
炭からは炎が少し立っているし、ヒレの上下だけでなく側面にも火を入れる。
その為、焼き上がりは河村さんの究極のぷるんぷるんとは違うが、皮1枚だけ色が変わる程度で、中はこれ以上ないロゼ色。
これはこれで完璧な火入れで、肉の味は100%引き出されている。
満足度 5++



牛丼
〆はサーロインを使った牛丼。
まずはご飯の上に乗ったサーロインを1枚食べる。
冷しゃぶを食べたので予想はしていたが、コクがあって肉の味は非常に良い。
牛丼のつゆも置かれているので、残りはつゆだくで楽しむ。
間違いなく人生最高の牛丼。
満足度 5


嫌でも”かわむら”と比較されているだろうが、メニューも似ているものが多く、やはり仕方ないのかもしれない。
私が食べた範囲で比較すれば、去勢メインの”かわむら”に対して、”ひらやま”は雌メインのように感じる。
「余韻と喉越し」を求める河村さんに対して、平山さんは「肉の味」を伝えようとしているのかもしれない。
ヒレもサーロインもとにかく最上級のものであることは確かだ。
今回は時間の余裕がなかったので断念したが、シャトーブリアンとサーロインを目の前で細かくカットして作るハンバーグとメンチカツを隣のお客さんが食べていたが、あれは絶対に食べてみたい。
この日、平山さんに完全に心を奪われてしまった。