No Meat, No Life.

横浜の魚屋の長男として生まれたが、家業を継がずに肉を焼く日々。

2016年1月28日 スタミナ苑


焼肉と言えば安い肉をタレで揉み込んで食べるのが一般的だった時代に、鮮度と品質に拘った焼肉を提供し、当時の総理大臣まで並んで食べたという話まで広がった日本一有名な焼肉屋さんが”スタミナ苑”。
諸説ある焼肉史だが、第一次革命を起こしたのは”スタミナ苑”で間違いないであろう。
そして”ジャンボ”や”ぱっぷHOUSE”による希少部位の第二次革命、”よろにく”による割烹のような肉料理の第三次革命へと続いていくのだ。
革命を起こした名店は何十年経っても錆びつかない。
常に進化を続けている。
それが革命を起こした力の証明なのだろう。
この日は20年以上”スタミナ苑”に通い続けるイタリアンの巨匠・山田宏巳シェフに同伴させていただき、山田シェフだからこそのスペシャルコースを堪能させていただいた。
ミノの昆布締め
羅臼昆布で締められたミノは香り高い胡麻油、そして塩昆布で味付けされている。
ミノに生臭さは一切なく、舌に絡む旨みと食感が抜群。

コブクロの湯引き
今まで食べてきたコブクロと明らかに違う食感。
1切れ1切れが生命力漲る弾力と極上の歯切れを持っている。

煮込み
煮こみ用のホルモンにまで丁寧な隠し包丁が入れられている。
塩味も味噌味も甲乙つけがたい。


テール
根元の太い部分を煮込んで(蒸して?)から焼き目をつけている。
口の中で簡単に崩れ落ちる程柔らかいのだが、煮こみ過ぎて味が抜けることもなく、テールの旨みの全てを教えてくれる。

ホルモンの前菜盛り合わせ
アキレス腱、ミノの湯引き、炙りハツ、ガツの湯引き、センマイが全部違った味付けで盛られている。
アキレス腱はトロトロでゼラチンの様になっており、湯引きにされているミノは昆布締めにされたもの。
クセが一切感じられないハツ、貝類のような食感のガツ、そしてシャキシャキのセンマイは脇役が一つもなく全てが主役レベル。

ハチノス
蒸しから焼かれたハチノスはむっちりとした食感で、表面からは香ばしさが感じられる。

上ハラミ
“スタミナ苑”のハラミは一般的なハラミの野性味あふれる食感ではなく、ホロホロと崩れるような食感と肉汁を楽しませるカット。
ハラミ自体の味はそこまで強くないが、塩ダレと肉汁のマリアージュに口元が緩む。

タン下
タンの筋の部分だが、筋の嫌な硬さは皆無。

上タン
ぷるんぷるんで柔らかさを極めたタンは、火を入れることでより歯切れの良さが向上する。

ホルモン盛り合わせ
芸術品の様に盛られたホルモン盛り合わせは、ハツ、シマチョウ、気管、ミノ、コブクロの根本、ギアラ、直腸、センマイ、ハツモトで、卵ダレにつけていただく。
どれも驚くほど絶品だが、コブクロの根本の食感は他のお店では食べたことのない圧倒的なレベル。



レバ
3頭分のレバを食べ比べる。
個体の違いを食べ比べさせてくれるお店が他に何処にあるだろうか。
甘みや舌触りの違いが明確に分かる、そして旨い。

シンタマ
シンタマの中でもトモサンカクだろうか!?
サシがびっしりと入っている。

マクラ
肩ロースの中のマクラは硬めの食感なのだが、丁寧に隠し包丁が入っていて、口の中で肉汁が溢れ出す。

ヒレ
雌のヒレということで判が小さめで張りがある。
柔らかさとタレの旨さが印象的。

ミスジ
ミスジにしては厚切りだが、そんな事を感じさせない繊細な食感で、肉の味も驚くほどしっかりしている。

特選カルビ
かなり大判のザブトン(?)が登場。
香ばしさとタレの相性が抜群。

とにかくホルモンはモノが圧倒的に違う。
抜群の鮮度、丁寧で一切の妥協がない仕込み、そして山田シェフのためのほんの一握りの最上部分。
焼肉界のレジェンドが今も変わらぬエネルギーに満ちている事実に心から嬉しさを感じる。
I’ll be back.