No Meat, No Life.

横浜の魚屋の長男として生まれたが、家業を継がずに肉を焼く日々。

2008年5月30日 薩摩牛の蔵 赤坂店

仕事の山場を越えて自分はMeatを堪能したが、会社の後輩達は疲れた顔をしている。
彼らの疲労の原因は肉不足だと気づいたので、早速彼らを連れて会社から近い牛の蔵に向かった。
仕事が途中の後輩もいたが物事には優先順位があるのだ、先輩としてそれを教えたかった。
前菜は、レバ刺しがまさかの品切れで、牛刺し・ユッケ・ハツ刺しの3品。
牛の蔵で牛刺しを初めて食べたが、軽く炙ってある。
蕩ける刺身ではないが、赤身の旨さを感じる。
ユッケは肉自身も旨いし、タレも旨い。
ここ最近食べたユッケの中でもかなりの上位にくる旨さだ。

ハツ刺しは臭みもなく独特の歯応えがいい。
レバ刺しが品切れだったが、他の生肉3品ですっかり気分が盛り上がってしまった。
牛の蔵は網ではなく鉄板で焼くのだが、この鉄板がMeatの為に用意されたステージのようである。
最初にこのステージに登場したのは、かなりの大きさの極上タンステーキ。
ステージで焼きあがるタンに全員目を奪われている。
このタンステーキは根元より若干離れているのか、サクサクとした食感は素晴らしいが、先日食べた凛のタンの柔らかさが足りない。
ただ、十分旨いタンではあることは間違いない。

牛の蔵盛りはサイコロステーキ(サーロイン)・極上カルビ・極上ロース・極上ハラミ・上ミノのお得なセット。
サイコロステーキは脂の甘みが強く蕩ける柔らかさ。
私は牛の蔵で必ず頼むのが、サーロインとヒレなのだが、ほどよく熟成されたこのサイコロカットのサーロインは本当に旨い。
極上カルビは、これぞカルビといった旨さだ。

最近は希少部位が重宝されて、ロース系にこだわるお店が増えてきたが、焼肉の基本であるカルビが疎かにされているケースが散見される。
ただ脂があれば良いと思っているのか、細かいサシではなく脂の塊が付いた部分を出したり、サシは入っているが、それが筋のように感じたり、ロースに比べて強い脂とタレの組み合わせをあまり考えていなかったり。
こういったお店が多い中で、金竜山を筆頭としたカルビが本当に旨いお店の中に牛の蔵も十分入るポテンシャルがあるだろう。
極上ロースは蕩けるように柔らかく、カルビよりも赤身の旨さが際立っている。
極上ハラミは荒々しい食感系ではなく、ジューシー系だ。
こちらも柔らかく、溢れる肉汁が旨い。

上ミノは普通、ただ、この時点でどれもこれも旨くて気分が盛り上がっているので、十分舌と脳が満足している。
次に登場したのがみすじステーキ。

ステーキと言うだけあって、なかなかの大判だ。
みすじステーキ2枚でステージを独占している。
普段はタレで食べるみすじだが、店員さんのお勧めでレモンを絞って食べてみた。
これが旨かった。
レモンをかけることによって、みすじの甘みをより強く感じる。

ホルモン3種盛りは、シマチョウ・ツラミ・白ホルモンをセレクト。
白ホルモンは後からお代わりしてしまったのだが、脂の甘みが素晴らしい。
鮮度抜群のホルモンで、下処理も丁寧なのが伝わってくる。

2周目は先ほど旨かった中から厳選しながらの注文でかなり悩ましかった。
私の牛の蔵の定番であるサーロインとヒレは勿論注文。
サーロインは先ほどの牛の蔵盛りに入っていたものより更に上質。
良い部位に当たったのだろう。
わさびをたっぷりつけて食べると旨さが口中に広がる。

ヒレは今までの脂たっぷりのお肉とは違ってさっぱりと食べることができ、柔らかさが格別である。
しかし、今まで牛の蔵で食べてたヒレの中では、若干劣るかもしれない。
勿論旨いことは間違いない、ただ、私の牛の蔵のヒレの評価が高すぎるだけなのだ。

追加した極上ロースも牛の蔵盛りに入っていたものより上質に感じた。
上品な脂の甘さにうっとりしてしまう。

他には、ゲタカルビもなかなか旨かった。
〆には勿論冷麺。
ちなみに私は牛の蔵で冷麺を食べてから冷麺好きになったのだ。
今回は初めてさつまいも冷麺を注文したが、やはり牛の蔵の冷麺は旨い。
広尾に牛の蔵ができてから、広尾店と赤坂店には何度か行っていたが、今回は今までで一番満足した焼きだった。
勿論、日によって肉質には若干のばらつきがあるのが普通だとは思うが、今回の焼きで牛の蔵のポイントを上げざるを得ないだろう。
久しぶりの牛の蔵訪問でまた悩みが・・・。
これだけ旨い焼肉屋が多いと、新規開拓の他に、定期訪問しなくてはならないお店が増えすぎてしまう。
これでは身体と財布がいくつあっても足りないではないか。