No Meat, No Life.

横浜の魚屋の長男として生まれたが、家業を継がずに肉を焼く日々。

2008年12月11日 チャンピオン ペントハウス

全国には無数の銘柄牛がいるだろう。
また、松阪牛前沢牛近江牛といった有名な銘柄牛を食べた時に、"それほどでも"と思った人も多いのではないだろうか。
まぁそれはそうだろう。
同じ銘柄牛でも育ててる人が違えば、環境や餌が違うので、味が全然違うのは当然である。
そういった状況の中で、松阪牛なら中尾さん、前沢牛なら小形さん等々といった具合に全国の有名な銘柄牛の産地には有名な生産者がいるのだ。
最近勢いのある九州で言えば、鹿児島の野崎さんや宮崎の尾崎さんの肥育する和牛は気になるところだろう。
その宮崎の尾崎さんが肥育する野崎牛を東京で食べれるのが、チャンピオン・ペントハウス
元々あるチャンピオンは、焼き仲間が訪れて、"再訪の価値は・・・"と言われていたので、あえて訪問していなかったのだが、今回は自分の舌で確かめるという事と、尾崎牛を食べるためにチャンピオン・ペントハウスの訪問を決意した。
注文に関しては、店員さんよりお任せのコースがお得であると聞いたが、今回は尾崎牛を色々と食べたかったので、4種類が食べられる尾崎牛盛合せ×2で8種類の盛合せにしてもらった。
盛合せ以外にはレバ刺しとハラミ刺し、スタミナ煮込みを注文。
レバ刺しはなかなか旨いが、ハラミ刺しはそれほどでもなく、お肉の味があまりしない。
スタミナ煮込みはまあまあ。
尾崎牛盛合せはまず4種類の塩系から運ばれてきた。
内容はヒレ、サーロイン、カブリ、ザブトン。

ヒレは柔らかさが印象的で旨い。
サーロイン、ザブトンは見た目のサシで期待をしたが、それほどでもない。
サシは入っているのだが、旨みが少ない。
カブリについて、最初カブリと聞いた時はロースの巻き部分かと思ったが、あまりに見た目が違うので店員さんに"カブリとは何処の部位"かを質問した。
店員さん曰く、"バラの部分"との事で、バラにもカブリと呼ばれる部位がある事を知った。
これは肉質が硬めで、旨みも少ない。
タレ系の盛合せはクリ、カイノミ、カルビ、中落ちカルビ。

クリ、中落ちカルビは旨みが少なく、まあまあといった印象。
最悪だったのがカイノミ。
口に入れた瞬間、すごい風味を感じたが、これが風味と言うより臭み。
こんなに臭みのあるお肉を食べるのは初めて。
あまりの臭みに全員顔を見合わせ、店員さんを呼んで、この事について質問した。
"尾崎牛は長期熟成していることと、バラの部分なんで臭くなる事がある"という回答だったが、これは本当に大丈夫なんだろうか!?
店員さんにカルビと言われたお肉は、どう見ても先ほどカブリと言われたお肉と同じ。
???何が本当なんだろうか?
物足りなさから、尾崎牛の指定がない単品での追加注文をしたが、部位は上ハラミ、イチボ、ミスジ
上ハラミはジューシーで旨みがしっかりしている。
やっと満足のいくレベルのMeatの登場であった。

イチボは細かなサシがしっかり入っているが、こちらも旨みが少ない。

タレで頼んだミスジは、タレがミスジのサシに負けて全く絡んでいない。
こちらも見た目のサシが悲しくなるような旨みの少なさ。

全体を通して、旨かったのは上ハラミとヒレ位で、尾崎牛を前面に出しているにもかかわらず、他は個人的にはそれほどでもといった印象。


尾崎牛が悪いのか、お店が悪いのかは一回だけの訪問では分からない。
だが、私個人が感じたのは以下のとおり。
・熟成(期間、方法等)がちょっとおかしくないだろうか
・タレが甘いだけで美味しくない
チャンピオンは個人経営ではなく、株式会社が母体となっている。
その為かどうかは分からないが、しっかりした職人の技というよりは、経費を抑えて素人がやっているという印象を受けてしまうのは私だけではないはずだ。
せっかく尾崎牛を取り扱っているのだから、もっと素材の持ち味を出せるような提供をしていただければと思う。
今後の改善に期待をしたい。