No Meat, No Life.

横浜の魚屋の長男として生まれたが、家業を継がずに肉を焼く日々。

2010年3月8日 焼肉酒家 傳々

通勤で有楽町を毎日利用しているが、月島で途中下車する時の喜びは常人には計り知れないだろう。
一般的にもんじゃの街と思われがちだが、一部の人間にはそこが焼肉の街だと知れ渡っている。
今回も刺身の盛り合わせからスタートしたが、中でもタンユッケの群を抜いている。
濃厚な旨みを持ったタンと甘みのあるユッケダレの組み合わせは、肉好きを虜にする魔力を秘めている。


かつて傳々で、すき焼きや蒸し鍋を食べたことがあったが、今回の前菜2品目はなんとしゃぶしゃぶ。
タンは生や焼いて食べるのとはまた違って、プルプルッとした食感が強く、タンの甘みが前面に出ている。
正直、これは毎回食べたくなるほど旨い。
ツラミも見事な薄切りで、筋っぽさはなく、優しい味わい。


手切りとは思えないほど、すごいカットのサーロインもしゃぶしゃぶで。
肉断面に僅かに入った筋が口に残ったが、筋以外の部分の柔らかさは抜群で、ゴマダレに負けない旨みがしっかりしている。
食べ方にもよるのだろうが、見た目のサシからは想像できないほどさっぱりとしていた。

タン元は黒タンとUS黒タンの食べ比べを決行。
US黒タンとは聞きなれないが、アメリカで育てられた黒毛和種(もしくは交雑?)のタンらしい。
普通の黒タンのようなサクサクとした食感の良さがあり、言われなければ気付かないかもしれない。
ただし、旨みはそれほど強く感じない。
黒タンは見事なピンク色で、その上質さを物語っている。
さすがに食感はUS黒タンを凌駕しているが、残念ながら旨みは乏しいタン元であった。
見た目がすごかった為に期待が高すぎたかも。

ハラミは適度な弾力と溢れる肉汁が素晴らしく、文句のつけようがない。

上ミノはいつ食べても安定していて、私が都内で一番旨いと思うミノがここにある。

ホルモンは久しぶりに塩とタレの2種類を食べる。
塩は片面焼きで、非常に歯切れがよく、飲みこむ瞬間まで心地よい。
タレは両面焼きで、香ばしさが増している。
こちらも他では真似のできない旨さである。
ただ、今回のホルモンは全体的に脂の乗りが少ないように感じる。
はみ出すほどたっぷり脂が乗っているのが好きなのだが。


シャトーブリアンは久しぶりにタレでいただく。
うっは〜、ジュワ〜と広がる旨みと考えられないほど柔らかな肉繊維は、正常な思考回路を停止させるほどの衝撃がある。


大阪風のハラミはご飯と一緒に食べると最高。
お箸が止まらなくなる。

ミスジはサシがびっしりと入った極上品。
ジャンボ系の食感には及ばないが、それでも他店とは比べ物にならないほどの旨さ。

久しぶりに食べたウデはご飯を巻いていただく。
さっぱりとした味わいで、旨みの濃さがより引き立つ。
お肉自体の風味が感じやすくて、本当に旨い。

カレーの前に食べる冷麺のお供として欠かせないのがカイノミ。
簡単にほぐれてしまう肉質に甘みの強いサシの組み合わせは、冷麺との相性も最高。

あまりに旨いお肉ばかりで、時間が過ぎるのもあっという間である。
おかげで、終電に乗るために駅まで走ることになってしまった。