No Meat, No Life.

横浜の魚屋の長男として生まれたが、家業を継がずに肉を焼く日々。

2010年6月25日 よろにく

『美人は三日で飽きる』と言われるが、それは魅力がまだ足りないからではないだろうか。
『飽きる』などという言葉とは無縁で、通えば通うほど、その魅力に取り付かれてしまうお店がある。
他のお店で焼肉を食べれば食べるほど、そのお店のすごさが分かる。
そのお店とは"よろにく"。
毎回驚きと感動を与えてくれるのだが、今回も衝撃的なMeatが待っていた。
刺身盛合せはタン元、センボンスジ、巻きの布陣で登場。
タン元は甘みが強く、舌触りも柔らか。
タンは火を通した方が断然旨いと思っていたが、このタン元を食べると考えが変わってしまう。

生では珍しい(焼きでも珍しいが・・・)センボンスジは、甘みがあって赤身自体のコクが非常に強い。

巻きの刺身は、静龍苑のようなサシがびっしり入ったタイプではなく赤身がしっかりしたタイプ。
カットは小さめの割に、旨みが非常に濃厚に感じられる。

最近ハマリ気味なのがセンマイ刺し。
このサクサク感と添えられた酢(ポン酢?)のマッチングの良さは本当に素晴らしい。
この料理としての完成度の高いセンマイ刺しは、"よろにく"か"ゆうじ"でしか食べた事がない。

甘めのタレ、シャキシャキした細切り野菜、そしてお肉の三位一体の旨さを味わえるのが平ユッケ。
赤身の旨みがタレに負けてない。

タン先を使ったタンユッケは、辛味ダレを混ぜた醤油に付けて食べる。
旨みはあるが、今回はタン先の硬さがちょっと口に残る。

"よろにく"初登場なのがアブシン。
つまり脂付きの心臓(ハツ)である。
アブシンは脂に強めに火を入れ、ハツは軽めの火入れにするのがポイント。
絶妙な焼き上がりで食べたアブシンは、食感の良いハツにサラッとした脂が絡んで、やはり最高の旨さ。


タン元の薄切りは片面焼きで味わう。
薄切りとは思えない旨みがあるが、やはり黒タンのタン元の最高の食べ方は厚切りかなぁ。

厚みのあるハラミは、塊のままじっくりと時間をかけて焼き上げ、旨みを全て閉じこめる。
弾力のある肉繊維を奥歯で噛み千切ると、鉄分を感じさせるような旨みの肉汁が大量に広がる。
この肉汁の旨みが塩で更に引き立てられて、感動的な旨さ。


カイノミの中でもヒレカブリと呼ばれる部位。
私はこれを食べた瞬間に思わず目を閉じてしまった。
それほど旨いのだ。
タレで焼いて食べるのを前提にすると、最も焼肉に向いている部位の一つであろう。
ヒレのような柔らかで繊維を感じさせる食感、ハラミのようにパンパンに詰まった肉汁、これは塊のような厚切りだからこそ味わえる最高の贅沢かもしれない。

シンシンはプレーンな状態で。
サシやツケダレに負けないしっかりとした味わいはさすが。

ロース芯の隣にあるエンピツだけを切り出して食べさせてくれるお店自体少ないが、このエンピツを塊で食べさせてくるお店はあるだろうか!?
塊ゆえに、表面に強めに火が入っているが、これが中の食感とアクセントになって未体験の世界。

アブシンに続いて"よろにく"初登場なのがミノ。
ミノサンドではなくミノである。
"ゆうじ"のミノに似た食感で旨い。

初登場ホルモンの第3弾はシビレ。
"ゆうじ"のシビレには一歩及ばないものの、カリッと焼き上げた表面とジュワッとした中の食感が対照的で旨い。

ここで小休止。
お椀と一緒に食べたのはタテバラの握り。
タテバラの甘みと酢飯のバランスが良く、やはり握りはタテバラが一番旨い。

綺麗な薄切りにカットされたミスジは"よろにく"の定番。
何度食べても感動できる旨さに敬服。

今回残念だったのは厚切りのシャトーブリアンが食べれなかったことだと思っていたが、シャトーブリアンは薄切りタレで登場してくれた。
食べたことのある人しか分からないこの食感。
最高に旨いです。

薄切りタレのサーロインは、贅沢にも1枚の大判カット。
あえて綺麗に均等な火入れをせずに、ところどころ赤身が残るように焼く。
口の中で噛まずに蕩けてしまい、一緒に食べた一口ご飯の極上ソースになってしまった。
はぁ〜、ため息が漏れるほど旨い。

さっきも食べたミノを今度はタレで。
香ばしさと甘みが加わって、先程とはまた違った感じ。

ザブトンは卵黄とタレをたっぷり付けて食べる。
非常に濃厚で、食感も比類ない。

関西ではギアラとネギを一緒に焼いて食べるギアラネギがあるが、今回はコプチャンネギ。
甘みのある九条葱、脂たっぷりのコプチャンに特製ソースが加わり、問答無用の問答無用の破壊力を感じる。


これだけ通っているのに、初めて食べる物の多さには本当に驚かされる。
底なしのすごさだ。
"よろにく"を超える満足感を味わえる焼肉屋さんなどあるのだろうか。。。