No Meat, No Life.

横浜の魚屋の長男として生まれたが、家業を継がずに肉を焼く日々。

2010年9月17日 和牛焼肉 KIM

料理人の世界で、焼肉の料理人はワンランク下に見られる事がある、と聞いた事がある。
確かに世の中の焼肉屋さんの料理人の中には、何も考えずにお肉をカットしておしまいって人もいるかもしれない。
しかし世の中には、最後は焼き手が仕上げる焼肉というジャンルで、極限まで考え、創意工夫し、今までの焼肉屋さんとは別次元の完成度を見せてくれるお店が存在する。
おかしな思い込みがある人は"KIM"に行って、私の言わんとしていることを体験してみて欲しい。
カット、味付け、食べさせ方、全てが考えつくされた究極の焼肉が、真実を教えてくれる。
前回衝撃的だったお任せだが、今回も驚きと感動の連続だったので、その内容をお伝えしたい。
センマイ刺し
まろやかな三杯酢との相性が非常に良く、センマイ自体の歯切れの良さは勿論だが、一緒に和えられている細切り野菜と交じることで、更に食感が素晴らしくなる。
最初から衝撃的なセンマイ。
完璧!

タン刺し
ザクザクとした食感と共に鼻に抜ける香りがなんとも心地良い。
生とは思えないほどの甘みに驚かされる。
ハラミ刺し
ニンニク醤油で味付けがされていて、食べれば食べるほど食欲がかきたてられる。
ハラミ自体のねっとりとした甘みがあり、味わいの濃さが強い。

上ミノのエスカベッシュ
初めて食べる料理。
ミノのザクザクとした食感は弱くなっているが、柔らかな酸味が後をひく旨さ。

タンユッケ
甘めのタレが非常に旨いのだが、タレの甘さに消されないタンの甘みの強さには驚かされる。
全員で奪い合うほどの味わい。

特選タン
見事なタン元で焼きスタート。
瑞々しさがあり、香り、肉汁共にハイクオリティ。
タン好きだけでなく、(いないかもしれないが)タンが苦手な人でも夢中になってしまいそうな一切れ。


特選ハラミ
しっかりとサシが入っており、噛み締める歯を押し戻そうとする肉繊維の弾力が心地良い。
一度溢れ出したら止まらない肉汁にアドレナリン出まくり。

サーロイン
"KIM"の厚切りサーロインは本当にはずれがない。
毎回驚かされるほどハイクオリティ。
これを食べれば、"sir"の称号の意味が分かる。

ハラミ筋
厚切り3種に続いて、筋3種の盛り合わせ。
ハラミ筋は、筋をカリッカリに焼き上げると、筋がなんとも言えない旨いの塊に変貌する。
この恐ろしく旨いハラミ筋を特製とろろご飯と一緒に食べるのだ。
カリッカリ、ジュワ〜のハラミ筋ととろろご飯の相性は想像を絶する。
毎日でも食べたい組み合わせだ。


タン筋
タン筋もカリッカリに焼き上げて、特製とろろご飯と。
これも旨い。


ヒレ
これも表面を強めに焼くが、ブロック状にカットされているので、ヒレらしい食感も残す事ができる。
赤身の旨さと筋の旨さ、表面のカリッとした食感と中心部の柔らかさ。
対照的な組み合わせが口の中で絶妙に絡み合う。

平ユッケ
筋系のこってりの後は巻きの平ユッケを長芋サラダと一緒に。
巻きからは甘みがしっかり感じられ、長芋のシャキシャキとした食感との相性も抜群で、ただただ驚かされる。
これ旨いなぁ〜。

シンシン
続いて塊系の盛り合わせ3種。
シンシンは完璧な熟成によって風味と旨みが一段と強まっている。
厚切りのシンシンをここまで美味しく味あわせる技術に感服するしかない。

ササ
ここまで厚切りのササはそうそうないだろう。
初体験の食感に驚かされるも、若干脂のきつさも感じる。

ガリ
タレ壷に入った肉塊をトングで持ち上げると見事なサガリが登場。
タレの香ばしさとサガリの肉汁の組み合わせは食べる者を夢中にさせる。
旨みも凝縮される肉汁に、柔らかな食感は最高の旨さ。


シャトーブリアン
片面焼きで丸めて食べれば、意識が飛びそうなほどの衝撃が走る。
天を仰ぐほどの旨さだ。


ミスジ
"ジャンボ"系にひけをとらないミスジは、メレンゲご飯と一緒に。
ミスジの繊細な味わいもさることながら、メレンゲご飯と一緒に食べることによって旨さ倍増。

サーロイン
薄切りのサーロインもメレンゲご飯と一緒に。
なんとも贅沢な食べ方。
やはり"KIM"のサーロインは旨い。
赤身部分は勿論、脂の質の高さは特筆と言える。


ギアラ
ジュワッとした甘みがあって旨い。

シビレ
プルプルとした食感で、非常に私好み。
臭みも皆無で鮮度抜群。
最近人気の部位なので、シビレ好きにはぜひ食べて欲しい。

コプチャン
最後にコプチャンはちょっと重いかも。
皮の歯切れはあまり良くない。

〆は温麺にゼラチンではなくカンテンで作った杏仁豆腐でさっぱりと締めくくった。
焼肉屋さんとは思えない料理、食べさせ方に何度衝撃を受けただろうか。
"よろにく"と"傳々"の最高峰の争いに、"KIM"が加わったことはもはや否定できない。