No Meat, No Life.

横浜の魚屋の長男として生まれたが、家業を継がずに肉を焼く日々。

2011年2月10日 七厘


勇気のいる決断というものがある。
ここ"七厘"において、マストオーダーといえるメニューは本日のおすすめコース。
コースと言ってもお肉のみなので、要は盛り合わせなのだが、肉質的にもCP的にも大満足な内容といえる。
しかし、この本日のおすすめコースの上には、悶絶コースなるものが存在するのだ。
値段は時価とあるが、店員さんに聞いてみると、本日のおすすめコースの3倍程度の値段とのこと。
あの本日のおすすめコースは量も質も十分であり、3倍近いのクオリティが出せるなんて想像もできない。
しかし、一度も食べないということが出来ないのが、肉好きの性。
半信半疑ながらも、ここに勇気ある決断をしてみた。
普段は前菜や〆、デザートなどには触れない事が多いが、今回は一般的に情報が少ないと思われる悶絶コースの全貌を紹介してみたい。
キムチ

ナムル

サラダ

ユッケ
通常メニューの甘いタレではなく、胡麻のかかったプレーンなユッケをポン酢につけて食べる。
このユッケに使われているお肉の風味が生とは思えないほど非常に強く、赤身の旨みが口に広がる。
ポン酢につけると、この風味が殺されてしまうので、個人的にはほとんどプレーンで食べてしまったが、アクセントとしてポン酢につけるのはアリだと思う。
悶絶度 4

レバ刺し
細長い面白いカット。
ただ、甘みと言うより臭みがちょっと口に残る。
悶絶度 2

シンシンの握り
しっかりとコクのある赤身。
焼肉屋さんで食べる握りは、往々にしてネタとシャリのバランスが悪く感じるのだが、"七厘"ではそんなことは感じない。
悶絶度 4

トモサンカクの握り
極上のトモサンカクらしい細かなサシに目を奪われる。
甘みが強く、程よく厚みがあるのに口溶けが抜群。
悶絶度 4


牛刺し(トウガラシ)
柚子胡椒風味の下味が揉みこまれている。
赤身全体に言えることだが、とにかく風味とコクがしっかりしている。
1人あたり3枚も量がり、柚子胡椒は味が強いので、違った味付けでも食べてみたかった。
悶絶度 4

肩コブのタタキ
肩ロースのコブの部分らしい。
ポン酢のジュレミョウガがアクセントになっている。
やはりポン酢がちょっと強すぎる感じはするが、肩コブは旨い。
悶絶度 3


幻のタン(タン先)
以前はタン筋がセットになっていたが、最近はタン先がセットになっているようだ。
カットが粗く、焼き難さがあるが、モノ自体は悪くない。
悶絶度 3

幻のタン(タン元)
見るからに弾力を感じさせる生のタン元が登場。
見た目どおり、むっちりとした弾力があり、肉汁の量も半端ない。
まぎれもない最高級のタン元で、旨みもすごい。
個人的には、塩だけのシンプルな味付けで食べたかった。
悶絶度 5



極上ハラミ
ハラミの一番肉厚の部分を贅沢にカット。
ハラミらしい肉繊維の密度が高く、しかも心地良い弾力で噛み切れる。
肉繊維から解き放たれた肉汁の旨さは筆舌に尽くし難い。
悶絶度 5+

トモサンカク
大振りのカットで食べ応え十分。
見た目のサシから想像する印象と違って、さっぱりとしている。
悶絶度 4

シャトーブリアン
以前食べたときは、値段と肉質のバランスが悪く感じたシャトーブリアンであったが、今回のシャトーブリアンは見事な肉質とカット。
大振りで厚みもあり、耳部分を贅沢にカットされている。
このシャトーブリアンは店長さんに焼いてもらったが、こまめに裏返すことで、火力の強い炭火での焼き難さを克服しており、上下の2面にしか火を入れない焼き方は、シャトーブリアンらしい食感を残すものだと感じる。
繊細な肉繊維からは、澄んだ旨みがシャワーのように溢れてくる。
このシャトーブリアンを食べると、『A5、雌』という拘りの間違いのなさを感じる。
あえて言うとすれば、これほどの肉質ならば、幻のタン同様に、塩ダレ無しで塩のみで食べたい。
悶絶度 5



しゃぶしゃぶ
見事な大判のサーロインとリブロースが野菜と一緒にお皿いっぱいに盛られてきた。
出汁の中でほんのりピンク色に変わったサーロインを細切りされたネギと一緒に口の中へ。
サーロインの甘みとネギの甘みが見事に調和していて、お肉の味もしっかり感じられる。
これは理屈抜きで旨い。
リブロースは、カブリが一緒に付いていた為、食感がその分損なわれていて、ちょっと勿体無いかも。
それにしても、しゃぶしゃぶは豚で十分と思っていた浅はかな考えを見事に打ちのめされ、自分の経験不足を痛感した。
ただ、大判のサーロイン3枚、リブロース1枚が1人分の分量というのはちょっと多いかな。
悶絶度 4





デザート

うむむ、全てを食べ終えてみると満腹感と満足感に満たされている。
本日のおすすめコースのCPの良さには劣るものの、女性では食べ切れないと思われる量と質を考えると、決して高くはない。
肉マニアは試すべし!