No Meat, No Life.

横浜の魚屋の長男として生まれたが、家業を継がずに肉を焼く日々。

2012年2月29日 よろにく


子供の頃の夕食は、どんな献立であろうとお刺身が添えられていた。
父親の職業が魚屋だったので、毎日食卓に魚があったのだ。
勿論魚も好きだったのだが、月に1度か2度の外食はほとんど焼肉で、現在の姿からは想像もできないほど小食だった私が、唯一、人並以上の食欲を見せたのが焼肉だったような気がする。
今は無き"羊蹄山"が懐かしい。
大学に入り、自分で稼いだお金で初めて焼肉を食べた時、自分も大人の仲間入りしたなぁと感じた。
そして、その時食べた"叙々苑"の骨付きカルビの味は今でも忘れられない。
社会人になり、先輩に連れて行ってもらった"明月館"のタン塩も何故か印象深い。
Yakiniquestで知ってから毎月通い続けた"金竜山"は、初めて知った至高の焼肉だった。
数え切れないほどの焼肉屋さんとの出会いを通して今の私が存在しているわけだが、私の焼肉に対する価値観に最も影響を与えたお店と言えば"よろにく"をおいて他にはないだろう。
肉質の追求は勿論、カットや味付け、コースの流れに到るまで、ここまで完成された世界を見せつけられたのは、今のところ最初で最後かもしれない。
そんな"よろにく"での、4年に1度の『閏肉の日』のお任せコースを紹介したい。
肩三角の炙り
しっとりとしていて、薄切りでも肉汁たっぷりで、旨みもしっかりしている。
満足度 4

センマイ刺し
センマイの太いところも好きだが、細い部分のシャキシャキした食感もやはり好きだ。
とにかく食感の良さがいいね。
満足度 4


ハツ
鮮度の良いハツらしく、臭みは皆無でムッチリとした食感。
満足度 3

タン元(薄切り)
薄切りのタン元は片面焼きで仕上げて、生の面を外巻きにして。
口に入れた瞬間は艶かしい舌触り、噛み締めると香り豊かな肉汁が溢れ出す。
満足度 4

タン元(厚切り)
前歯に伝わるザクザクとした噛み応えも魅惑的だが、何より肉汁の香りの良さが際立っている。
雑味がなく、口の中で広がる旨みにはうっとりとさせられる。
満足度 5


ヒレチャーシュー
甘めの味付けがされたヒレチャーシューは、ドンピシャで私の好みにハマる。
タレに負けずに、お肉の味わいが活きている。
満足度 4

ランプ
プレーンで焼き上げ、ツケダレで食べる。
モミダレがない分、赤身の味わいをしっかり感じる。
満足度 4

ウワミスジ(タレ)
これは危険。
上質なヒレを彷彿させる肉繊維の繊細さと旨みが共存していて、甘めのタレがその高級感をうまく壊してくれている。
満足度 5

ウワミスジ(塩)
塩もやばい。
とにかく素材自体が恐ろしく旨い。
満足度 5

ハラミ
運ばれてきたハラミは"スタミナ苑"カットかと思ったが、2枚ではなく3枚に開かれた進化系(笑)
見た目の厚さよりも厚く感じるほど豊富な肉汁で、程よい塩加減が旨みを引き立てている。
繊維を断ち切る食感も素晴らしい。
満足度 4


シャトーブリアン
薄切りタレのシャトーブリアンは、丸めて食べると、空気を含んでより一層ふんわりとした食感で、しっとりと旨みを感じさせてくれる。
今回食べれなかった厚切りのタレも焼き方が難しいが、異次元の旨さなんだよなぁ〜。
満足度 5

ミスジ
厚すぎず薄すぎず絶妙なカットで、甘めのタレとの相性も最高。
どこでもミスジを食べれる時代になったが、"ジャンボ"と"よろにく"だけは永遠に別格かも。
満足度 4

ミノのソテー
食感や味付けの完成度高し。
一品料理として最高。
満足度 4

シビレのソテー
ベチャっとソテーされていてかなり重く、食感も良くない。
満足度 2

サーロイン(厚切り)
表面をカリッと焼き上げ、甘みを引き出した千住葱と一緒に食べる。
うううう、さっぱりとしていながら、葱の上品な甘みがサーロインの旨みを一段押し上げてくれているようだ。
満足度 5


サーロイン(薄切り)
"よしはし"風に白身メレンゲ状にして付けるので、食感がより軽く感じる。
満足度 4


ヒレカツ
赤身の強いヒレをステーキカバーを使って片面焼きで火を入れる。
ステーキカバーによって、上部は茶色の部分がほとんどなく火が入っていく。
仕上げは厨房でカツに。
どこまでも繊細な食感で、肉繊維1本1本に閉じこめられた旨みには感嘆の声が漏れる。
満足度 5




すき焼き
あのタレが隠し味に使われた割下でザブトンのすき焼き。
恐ろしいことに一般的な牛脂ではなく、鮮度抜群でピカピカのコプチャンを牛脂代わりに(笑)
ザブトンのカットの薄さが絶妙で、味付けとのバランスが抜群に取れている。
問答無用の旨さ。
満足度 5




〆はご飯にサーロインを乗せてすき焼きの割り下をかける。
割り下の量が難しいが、至福の〆ご飯が完成。
満足度 4

まさに『閏肉の日』に相応しいコース。
というか、こんなコースを"よろにく"以外で食べれるのだろうか!?
自分の焼肉感の底の浅さを感じてしまうような圧倒的な内容に打ちのめされた。
『最高峰』という言葉しか思い付かない。