No Meat, No Life.

横浜の魚屋の長男として生まれたが、家業を継がずに肉を焼く日々。

2013年3月22日 七厘


"七厘"では、お客さんにゆっくりと時間を気にせずに食事してもらう為に、時間制限をしていない。
その為1回転分の予約しかできないのだが、予約が取れなくても食べたくなってしまうのが肉好きの悲しい性。
同じ思いを持った同志で、入口で待機するのも一興だろう。
それにしても、空腹状態で焼肉の臭い映像を見ながら待つことは、なんと辛いのだろうか。。
憔悴しきった我々を迎えてくれたのは幻のタンから。
"よろにく"、"傳々"、"七厘"はいつ食べても最高峰のタンが食べれるイメージがあるが、残念ながらこの日は最高峰とまではいかず、味が薄いタン元であった。
それでも他店と比べれば、素晴らしいのは間違いないが。


七厘ボールは"七厘"の極上肉で作られたメンチ。
スーパーやお肉屋さんでミンチを食べると、油臭さが嫌のだが、七厘ボールはそんな臭さはなく、中のお肉の旨みがダイレクトに感じられる。

お任せの不動の先頭バッターのサーロインは相変わらずの品質。
舌触りが滑らかな肌理の細かい繊維質で、融点の低い上質な脂が雌牛特有の甘みを教えてくれる。

カイノミとハラミは適度な厚さがあり、外側はカリッと香ばしく、中はジューシーな焼き上がりで仕上げる。
カイノミは格子状に隠し包丁が入っているので、一味違った食感も楽しめる。


サシが細かく入ったザブトンだが、嫌な脂のしつこさは一切ない。
この辺りに仕入れる際の中原さんの目利きが出ているのだろう。

シンシンはしっとりとしていて、深みのある味わい。

肩三角とイチボは大判の薄切りで、職人らしい包丁の切れがありありと感じられる。
もちろんお肉自体も食べ応えがあり、しっかりと旨みを感じさせてくれる。


最後は切り落とし。
贅沢な部位、焼きやすく整ったカット、そして"七厘"らしい肉質。
都内の焼肉屋さんで、ここ"七厘"を超える切り落としを食べれるお店は見当たらない、と改めて思い知らされる。

食べ終われば「待った甲斐があった」と心から思える。
そして割安なお会計。
こういったお店の存在が日本の焼肉界を支えているのだろう。