No Meat, No Life.

横浜の魚屋の長男として生まれたが、家業を継がずに肉を焼く日々。

2013年7月 自宅


徳島のすだち牛をご存知だろうか。
熊本系の褐毛和種に徳島名産のすだちを与えて肥育したものだ。
今回はそのすだち牛の分厚いサーロインの塊を送っていただいたのだが、この塊を見てしまうと炭火ステーキ以外に食べ方が思い付かないという贅沢。
肉好きであれば誰でもこんなサーロインの塊を焼いてみたいという願望を持っているのではないだろうか。
自宅で今回レベルの塊を焼くのは初めてなので、その過程を含めてお知らせしたい。

まずは冷蔵庫から出して掃除をして余分な脂を除いてから常温に置いておく。
これは中までしっかりと火を入れることを目的としていて、表面だけでなく内部の温度も戻るようにしておく。

表面の温度が戻ったあたりで強めに塩を振る。
お肉を焼き上げた時の水分量は非常に重要であり、熟成が浅そうなお肉には特に早めに塩を振るようにしている。
塩を振って30分程度でだいぶ内部の冷たさも取れてきたので、いよいよ焼く準備である。

予め火を付けておいた炭(今回はオガ炭)が白くなったいるのを確認し、串に刺したサーロインを焼き始める。
この時の炭とお肉の距離は非常に重要で、これは炭とお肉の部位・厚さによって全然違うので、経験によるところが大きい。
ここから角度を変え、距離を変え、2時間程度かけてやっと焼き上がり。

イメージは最初の1時間45分で内部に火を入れ、最後に表面を焼く感じ。
焼きあがったサーロインは黒毛和牛に比べると肉繊維が粗い感じだが、しっかりした甘みが感じられ、豪快な炭火焼きにぴったりとあったお肉で旨い。

ちなみに今回のすだち牛は月齢30ヶ月の雌。
個体識別番号を検索すると血統情報まで見れるのは興味深い。
個人的に黒毛和牛至上主義からなかなか脱し切れないのが、やはり黒毛和牛以外にも旨い牛肉はあることを再認識する良い機会となった。