No Meat, No Life.

横浜の魚屋の長男として生まれたが、家業を継がずに肉を焼く日々。

2013年11月18日 にくの匠 三芳

京都を訪れる肉好きがいるのであれば、何があっても訪れて欲しいお店が八坂神社のすぐ近くにある。
主役である肉が素晴らしいのは勿論、その主役を包み込みながら際立たせ、見事な肉割烹を完成させる伊藤さんの技術と発想力にはただただ感服するのみ。
花びらたけとお肉のお出し
奈良の地で限界まで酷使された胃袋は絶好調とまでは言えないコンディションであったが、最初に出されたこのお出しで急激な回復を見せる。
花びらたけのしっかりとした味わいとその下に隠れた肉の出汁が見事に調和して、どこまでも優しい味わいに仕上がっている。
満足度 4

タンの昆布〆
タンは昆布に水分を吸われて身が締り、昆布の旨みがしっかりと乗っている。
また絶妙な温度で仕上げることで豊かな香りもプラスされている。
これ以上でもこれ以下でも完璧な仕上がり。
満足度 5

サーロイン
甘みの強いサーロインは舌の上で儚く消えていく。
残るのは上品な味わいだけだ。
満足度 4


牛テールと蕪の椀
まず出汁が恐ろしく旨い。
そして柔らかく煮込まれたテールはホロホロと崩れ、それを蕪がしっかりと受け止めくれる。
テールと蕪の相性が抜群に良いことを知った。
満足度 5


サーロインの角煮と栗ご飯
コクのあるサーロインの角煮が栗ご飯の最高級のソースになっている。
満足度 4


タンと千枚漬けのジュレがけ
旨みが凝縮したタンとさっぱりとしたジュレの見事なマリアージュ
味わいも食感も全てのバランスが完璧。
満足度 4


海老芋と銀杏の油もの
一見コロッケのようだが、食べるとしっかりと牛の風味がある。
しかし牛肉の食感は感じられない。
実はヘッド(牛脂)で揚げた牛肉の入ってないコロッケなのだ。
こんな発想で牛肉料理を生み出す人が他にいるのだろうか!?
満足度 4

下仁田ネギとタンの西京漬け
周りが白くなったタンを切ると中は見事なピンク色。
これを焼いてくれるのだが、鼻に抜ける芳醇な香りはまさに西京漬け。
それがタンの旨みと絶妙なハーモニーを醸し出す。
ジューシーではなくさっぱりと、そして濃厚な旨みに酔いしれる。
満足度 5


サーロインのすき焼き
真空せずに1ヶ月ほど熟成させたサーロインは焼く前の段階でも不思議と熟成香が感じられないのだが、焼き上がった時に見事な旨みを感じさせてくれる。
未だかつて経験したことがないレベルだったのは、実は肉ではなく割下。
角がとれてまろやかな割下が、肉のポテンシャルを余すことなく引き出してくれている。
今まで食べたどのすき焼き屋さんでも経験したことのない至高の割下に出会った。
満足度 5+



シャトーブリアンのすき焼き
サーロインのすき焼きに興奮していると、続いて出されたのがシャトーブリアンのすき焼き。
しかもフォアグラと共にだ。
見た目の贅沢さだけでなく、期待を裏切らないどころか、期待を遥かに上回る旨さ。
満足度 5+


肉割烹の経験値はまだまだ語れるほどではないかもしれないが、それでも肉割烹というジャンルで"三芳"を超えるお店があることなど想像ができない。
この伊藤さんのコースを食べるためだけに京都を訪れる価値は十二分にある。