No Meat, No Life.

横浜の魚屋の長男として生まれたが、家業を継がずに肉を焼く日々。

熟成肉と本格炭火焼肉 又三郎


昨今の熟成肉ブームが起こる前から独自の手法でドライエイジングへの研究を続け成果を出してきたパイオニア
仲卸や精肉店のように大きな熟成庫ではなく、個人の飲食店でここまでドライエイジングを成功させたお店は"又三郎"以外にあるだろうか!?
店主・荒井さんの熱意と研究熱心さには尊敬の念しか起こりえない。
話をさせていただいた際も、謙虚なその姿勢は印象的だ。
また、荒井さんの熟成肉の火入れは素晴らしく、しっかりと中心まで熱が届いているのだが、綺麗な赤みは残されている。
熟成肉の芳醇な香りが見事に立ち、繊細かつ大胆な女性らしさすら感じる絶妙な火入れだ。
前菜
サルシッチャ、コールドビーフ、ローストビーフの盛合わせ。

黒毛和牛のトンビ
乾燥した表面を掃除すると、中は濃い肉色で申し分ない。
トンビを口に入れると、豊かな熟成香が鼻腔をくすぐり適度な歯応えが食感の良さも演出する。
肉そのものの旨みは若干弱く感じるのが、それを補っているのが熟成香だろう。
満足度 4


あか牛のリブロース
黒毛和牛のような脂の甘みと赤身の旨みは弱いが、熟成香がトンビよりも更に一段強く、独特の肉繊維の食感を楽しめる。
飲み込んだ後に上がってくる熟成肉特有の香りは、巷に溢れている(自称)熟成肉の腐敗臭とは一線を画す。
満足度 4


心から熟成肉を楽しめる"又三郎"。
流行に便乗し過大な宣伝だけに力を入れているような熟成肉をウリにしたお店が増える中、あくまでも等身大の熟成肉に真摯に取り組む"又三郎"。
『THE BEEF WONDERLAND』というキャッチフレーズを裏切らない素晴らしい世界を体験した。