No Meat, No Life.

横浜の魚屋の長男として生まれたが、家業を継がずに肉を焼く日々。

2015年2月22日 生粋

焼肉を食べる時の不動のスターターであるユッケが食べれなくなって久しいが、最近では厚生省の許可を取って、正式に生肉を提供してくれるお店が増えてきた。
ところが、価格があまりに高額だったり、食味がかなり劣る生肉が存在するのも事実。
そんな中、驚くほど手頃な価格で最高の生肉を食べれるお店が2014年にオープンした。
それが南青山の名店"よろにく"の流れをくむ"生粋"。
"生粋"には、前菜から〆、デザートまでついて5千円という信じられないコースが存在する。
今回はそのコースに少し上乗せをしてオーダーしたのだが、最初は5千円のコースで誰もが満足するだろう。
何度も足を運んで、更なる極みを目指したい人はアレンジをお願いしてみるのもいいだろう。
牛刺し
しっとりとした刺身は舌の上で上品に赤身の甘みを伝えてくれ、じんわりと旨みを広げる。
満足度 4

ユッケ
そのまま食べても驚くほど旨いのだが、網の上で炙ったバケットに乗せて食べると飛び上がりたくなる。
ユッケとバケットの食感のコンストラストが素晴らしく、香ばしさがよりユッケを旨くする。
満足度 4


タン元
タンはよく動き先が硬く、根本にいけばいく程柔らかくサシが入る。
その根元部分だけを一般的に見かける断面ではなく、それと垂直方向にカットし判を大きくとる。
表面積の大きさからカリッとジューシーなインパクトが強烈で、上に乗せた塩昆布との相性も最高。
満足度 5

ヒレ
塩で味付けされたヒレは、唇で噛みきれるほど柔らかで、肉繊維がほどけながら香りと旨みで満たされる。
満足度 4


豚バラ
脂で炎が上がるも、脂がフツフツとした感じに仕上げるとより旨い。
満足度 3

肩三角
タレが甘いのだが、それが肉の味を殺さず、より肉の旨みを引きあがる。
肉自体も抜群。
満足度 4

握り
焼肉屋さんの握りというとご飯の上に肉が乗っているだけというお粗末なものが散見されるが、"生粋"は全然違う。
シャリの硬さから温度まで、しっかりと肉の旨さを引き立てる仕事がされている。
満足度 4



シャトーブリアン
厚切りのシャトーブリアンに塩を軽く振って食べるのは最高だ。
だが、薄切りのシャトーブリアンをタレで食べるのも、負けず劣らず最高だ。
空気を含んでふんわりとした食感、鼻腔をくすぐる芳醇な香り、ほぐれる程に解き放たれる旨み。
その全てがハイクオリティ。
満足度 5


シルクロース
サシが入っているだけで味もなく、水っぽい肉がたまにあるが、このシルクロースはその対極にある。
凝縮された肉の味とタレのマリアージュが奇跡を生み出す。
満足度 5

出汁ミスジ
胡麻油をまとったミスジを軽く炙り、特製の出汁にくぐらせれば、「和」の心を知ることになる。
上品な出汁が肉の味を優しく包み込む。
満足度 4


ザブトン
薄切りのザブトンは焼いた後に卵の黄身につけて。
ザブトンの甘みと黄身のコクが絶妙。
満足度 4


ヒレカツ
〆はコースの冷麺ではなくヒレカツ丼にしてもらえた。
ヒレのど真ん中のシャトーブリアンの厚切りが惜しげもなく使われ、見事としか言いようのない火入れ。
とじた卵の出汁も素晴らしく、これ以上ない贅沢で旨い丼だ。
満足度 5+

生肉を食べたい時にすぐに候補に挙がる"生粋"だが、コースの組み立てから、その質、そして価格まで。
コース焼肉の最高峰と言っても過言ではないお店だ。
オープン1年程度で予約がほとんど取れない名店になっているのも頷ける。