No Meat, No Life.

横浜の魚屋の長男として生まれたが、家業を継がずに肉を焼く日々。

2015年4月2日 虎の穴

『虎穴に入らずんば虎子を得ず』
この諺の真の意味を知っているだろうか!?
教科書に出てくるような意味しか知らない人がいるのであれば、今すぐ恵比寿に向かうべきだ。
そして”虎の穴”で「虎の子」を注文してみて欲しい。
部位的には決して珍しいものではない。
だが他のお店では決して食べられないレベルのソレが食べられる。
その瞬間に諺の真の意味を身を以て知ることになる。
そして出来れば、単品オーダーではなく、辛さんにお任せで身を委ねて欲しい。
虎の子以外にも虎穴に入らなくてはならない理由が見つかるはずだ。
ハチノス煮込み
クタクタに煮込まれたくたびれたハチノスとは一線を画す活きた食感を持つハチノス。
個人的には日本一旨いハチノス。
たっぷりの胡椒が滋味深い味わいのアクセントになっている。
満足度 4

センマイ刺し
黒い皮も剥かず、味付けは酢味噌、といったクラシックな装いだが、丁寧で間違いのない下処理でいつ食べても旨い。
満足度 4




ポッサムチョッパム
サンチュ、エゴマの葉で豚足、ニンニク、キムチ、アミ、青唐辛子を包んで食べる。
複雑な旨みの共演の中でもエゴマの葉の香りは別格。
満足度 4

ユッケ焼き
甘みがしっかりと感じられ、食感もただ柔らかいだけではなく適度な食感がある。
満足度 4

レバ
新鮮なレバは火を入れることで甘みを増す。
満足度 4

タン
タン先はこれでもか!というほどしっかりと火入れされるが、それにより心地よい噛み応えと旨みの凝縮感が実現する。
タン元は適度な厚みがあり、前歯に感じるわずかな抵抗感と同時にサクリッという音が聞こえてきそうだ。
満足度 4

イチボ
正肉メインではなく、あくまでもホルモンのつなぎ的役割。
肉の味もあり、十二分に役割を果たしている。
満足度 4

コメカミ
厚切りと薄切りの2種類を食べ比べできるが、筋のあるコメカミをここまで昇華させるのは”虎の穴”の真骨頂。
ニンニクが絶妙にマッチする。
満足度 4

センマイ
臭みの欠片もないセンマイは瑞々しく、歯切れの良さが抜群。
満足度 4

シマチョウ
脂のクリアな甘み、皮の歯切れ、そのどれもが高次元で融合している。
満足度 5

ハチノス
煮こんで旨いハチノスは、もちろん焼いても旨い。
下処理が圧倒的に違う。
満足度 4

ヤン
一部のマニアの間では「ニイテンゴ」と呼ばれる部位で、第2の胃袋・ハチノスと第3の胃袋・センマイのつなぎ目。
サクッとした食感の良さはホルモンの中でも随一。
満足度 5

コプチャン
脂の甘みはもちろんだが、それを引き立てるタレがまた絶妙のマッチング。
満足度 4

ギアラ
歯切れはそれほど良くないが臭みなど皆無で、クチュクチュと噛むことで旨さを発揮する。
満足度 4

ロース
箸休め的なロース。
この滑らかさと甘みが次への布石となる。
満足度 4

ハラミ特塩
ハラミなど二束三文にしかならなかった時代に、ハラミを世の中に広めたパイオニアが”虎の穴”。
ごっついハラミにこれでもかって程のニンニクをまとわせ、ハラミの芯に火を入れていく。
辛さんに焼かれたハラミを噛み千切り、ひたすら咀嚼して肉汁を楽しむのが我々にできる唯一の行為だ。
満足度 5


ダメ人間セット
辛さんのお任せを食べきった者だけが食べることを許される境地。
ハラミの端っこだが、熱々のご飯と魔法のタレで、この世のものとは思えない旨さを作り出す。
こんな旨いのであれば、ダメ人間になっても本望だ。
満足度 5


虎の子については通名で書いたので、ぜひ”虎の穴”で味わって欲しい。
そして本物のハラミも味わうべきだ。