No Meat, No Life.

横浜の魚屋の長男として生まれたが、家業を継がずに肉を焼く日々。

2015年4月4日 ジャンボ 篠崎本店


ここ数年の焼肉業界は凄まじい勢いで進化している。
他店の良いものを真似て取り入れる。
真似ることは悪いことではなく、これは立派な努力であるが、大事なのはオリジナルに対して各店のアレンジを入れたり更に洗練させることであり、表面上の真似だけの劣化版にがっかりさせられることは多い。
やはり一番凄いのはオリジナルであることに変わりはない。
東京の外れ、江戸川区篠崎に現存する伝説が”ジャンボ”だ。
“ジャンボ”はまさにオリジナルの塊。
今ではどこでも見られる超薄切りのカットに、中毒性抜群のタレ、そして○○秒炙りといった指導まで。
それ以外にも料理好きの大将のご機嫌によって繰り出されるサイドメニューの数々。
とにかく他店の真似など一切考えずに、”ジャンボ”というオリジナリティに拘り抜いた名店である。
食べ○グには”ジャンボ”というジャンルを新設して欲しいくらいだ。
この日はお通し代わりにタンの和風ハンバーグから。
タン先を使ったハンバーグがしっかりとした噛み応えにタン特有の風味が効いていて、ソースとの相性も抜群の仕上がり。

塩系の盛り合わせは上タン、ウワミスジにサガリ
上タンは決して厚過ぎず、ロースターの特性を計算した最適値となっている。
そしてウワミスジとサガリの食べ比べで、食感や肉の味自体の方向性の違いを感じさせてくれる。



焼肉用のタレではなく、鰹出汁が効いた割下でもんである野原焼きは、レアではなくウェルダンで焼いても抜群に旨い。
サシの入ったサーロインもさっぱりと食べれて、お代わりしたくなる。

タレ系の盛り合わせはササミ、ナカニク、トモサンカク。
この3種でもサシの入り具合や肉質で全て違った厚さにカットされている。
普段よりもサシの少なめなササミだが、食感には適度な弾力があり、そこから弾けるように広がる旨みは秀逸。
この日食べた中で断トツのNo.1と言っても過言ではない。
逆に細かなサシがびっしりと入ったトモサンカクは、いつも以上に薄くカットされ脂の重たさが残らない。



更にタレ系2皿目はミスジとザブトン。
その2つの部位こそ、かつては”ジャンボ”の代名詞的な存在でもあった。
初めて”ジャンボ”でさっと炙ったミスジとザブトンを食べた時は、あまりの衝撃に身体がのけ反ったのを今でも覚えている。


〆は和牛カレーライスをお願いしようと思っていたのだが、そんな思いが通じたのか、大将がテーブルにカレーを持ってきてくれた。
しかもホワイトカレーだ。
一口食べて驚くのは、ちゃんとスパイスの効いたカレーだということ。
しかもメチャメチャ旨い。

“ジャンボ”の本店は篠崎だが、都心に本郷店、はなれ、白金店があり、各店が独自のオリジナリティを作り上げている。
“ジャンボ”のDNAは脈々と受け継がれているのだ。